2018 Fiscal Year Annual Research Report
層状ケイ酸塩を利用したゼオライトナノシートの層厚制御と分離膜への応用
Project/Area Number |
18J22738
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
小池 正和 早稲田大学, 理工学術院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 層状ケイ酸塩 / ゼオライト / 層間縮合 / ナノシート / 分離膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、層状ケイ酸塩からゼオライトへの構造転換(層間縮合)の過程を制御することで、分離膜材料に資する層厚が制御されたゼオライトナノシートを作製する。さらに、得られるナノシートの層厚がナノシートからなる分離膜性能に与える影響を明らかにしつつ、層厚の制御が可能、かつ汎用的なゼオライトナノシート作製法の確立を目指す。本年度は、層状ケイ酸塩の層間縮合反応の制御による層状ケイ酸塩-ゼオライトナノシート複合体作製の第一段階として、層状ケイ酸塩RUB-15・層状オクトシリケートの層間縮合を追跡し、層状ケイ酸塩-ゼオライトナノシート複合体が得られる縮合条件を検討した。 層状ケイ酸塩RUB-15に対しては、層間に銅イオンを導入した後に段階的な焼成温度での処理を試みた。試料を焼成すると、XRDパターンより層間縮合の進行に伴ってある程度の値まで層間隔が低下し、その後は銅イオンが還元された後にゼオライトへと構造転換した。これは層間の銅イオンの存在により層間縮合が妨げられたためと推測される。 一方、層状オクトシリケートに対しては、有機分子であるアミド分子(N-メチルホルムアミド; NMF)溶媒存在下での還流処理を用いて層間縮合を行った。その際、NMF中に水を試薬量程度添加することで層間縮合の進行度合いが変化するという結果が得られた。さらに水の存在量を多くするにつれて層間縮合の進行が遅くなっていたことから、反応系中での水の存在が層間縮合反応の進行を抑えている可能性が考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
層状ケイ酸塩RUB-15の層間に金属イオンを導入した試料を加熱処理することで層間縮合反応の制御を達成しつつある。それに留まらず、アミド存在下での層状オクトシリケートの還流時に試薬量程度の水を添加することで層間縮合の進行を抑制できる可能性、さらに層状ケイ酸塩のソルボサーマル処理により層が巻く(スクロール)現象の観察にも成功するなど、当初の計画に加えて新たな縮合制御手法や新たな現象を見出しつつあるため、本年度は当初の計画以上に研究が進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
層状ケイ酸塩から作製した層状ケイ酸塩-ゼオライトナノシート複合体の詳細な分析により、その合成を確認する。合成を確認後、その物理的処理または化学的処理による薄層化/剥離を用いた、ゼオライトナノシートの作製を検討する。 また、来年度は国際学会への参加や研究出張を積極的に行い、海外の研究者と交流し、自身の研究に関する有用な議論ができるよう検討する。
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Research Products
(11 results)