2018 Fiscal Year Annual Research Report
現代南アジアにおけるイスラーム復興思想の均衡と社会運動
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18J40025
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
須永 恵美子 東京外国語大学, 総合国際学研究院, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 地域研究 / パキスタン / ウルドゥー語 / イスラーム復興 / 南アジア |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、南アジアのイスラーム社会運動についての分析枠組みを構築することに取り組んだ。該当分野における先行研究の整理と、フィールド調査に向けた事前準備を行った。本年度に読み込む資料に関しては、2015年の現地調査にて入手済みであった。国内でイスラーム復興団体の分類と現代的役割について国内で複数回発表した。具体的には、パキスタンのジャマーアテ・イスラーミーが、同名の在外組織とどのように連携をとっているのか明らかにし、その分派の様子と断絶を描き出した。インドのイスラーム政党のように積極的に独立をアピールする組織と、バングラデシュのように複雑な歴史的経緯を乗り越えて現在の連帯を訴えている団体のあり方を示した。 海外調査については、東南アジア、中東を短期的に周り、次年度以降のフィールド調査に向けての下準備を行った。南アジアでの調査も予定していたが、調整がつかなかったため、次年度に持ち越すこととした。具体的な成果として、2月にミャンマーのヤンゴンとオマーンのマスカットを訪れた。 マスカット市では、インド系移民街を中心にモスクを調査し、さらに周辺の書店での資料収集を行った。また、比較のためキリスト教会とヒンドゥー教寺院も調査し、それぞれの礼拝集会を記録した。いずれも会話のレベルでウルドゥー語の流通度が高く、共通語としての同言語の重要性が確認された。ラカイン州をはじめ、北インド、グジャラート、バングラデシュ、カラチなどにルーツを持つ住民の間でのウルドゥー語の習得を確認した。一方で、書物としてのウルドゥー語は可視化されておらず、マラヤーラム語やベンガル語といった地方語が中心であることがわかった。ヤンゴンでは、廟を調査し、祈祷の前後でウルドゥー語が使用されていること、南アジア各国から政治家らが参拝を続けていることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
海外2ヶ国での調査を遂行することができた。ただし、南アジア域内で予定していた海外調査は履行できなかったため、次年度以降の課題とする。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、南アジア内外での調査を行う。予定しているバングラデシュでの調査について、インフォーマントとの連携が順調に進んでいない。この分を、すでに調査の手はずが整っていたものの、昨年は日程の都合で渡航が叶わなかったパキスタンでの調査に振替える予定である。
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