2022 Fiscal Year Annual Research Report

Features and problems of distribution system reform for fresh food: with focusing on the current significance on the public wholesale market system and wholesalers' function in the fisheries industry

Research Project

Project/Area Number	18K05848
Research Institution	Nagasaki University
Principal Investigator	山本尚俊長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(水産), 教授 (00399099)
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha)	北野慎一京都大学, 農学研究科, 准教授 (20434839)
Project Period (FY)	2018-04-01 – 2023-03-31
Keywords	卸売市場制度改革 / 市場・場外流通(業者)間の境界低減 / 市場卸・仲卸二段階制の揺らぎ / 市場流通の強み / コーディネート
Outline of Annual Research Achievements	本研究の目的は、生産・消費の安定に資する流通の要件・課題を水産物市場流通の現代的意義・機能に焦点をあてて考究することである。コロナ渦での調査実施の大幅遅延で検討内容・範囲の変更も余儀なくされ、期間も1年延長したが、最終年度の今年度は、今般の制度改革の影響や市場流通の再編課題を念頭に(1)市場流通を取り巻く情勢（内外部環境）の概括的整理、(2)制度改革協議始動後の卸・仲卸の事業再編等の動きの抽出（業界新聞検索）と影響・変化の把握（市場卸・量販等の聞き取り調査）を行ったほか、(3)前年度に引き続き水産卸Aの川上・川下対応を検討軸に市場業者に問われる今日的姿の探求を試みた。 (1)市場流通の内外部環境をSWOTの枠で整理・再考した。多様な種・質・規格等を瞬時に各種需要に繋ぐ調整力＝プロダクトアウトへの適応力は最大の強みだが、それが卸・仲卸の分業から生み出されるとすれば、制度改革がその土台の揺らぎを促すことも想定された。 (2)2018年以降、水産卸のM＆Aや事業再編の動きが散見された。規制改革（業務・運営の自由度の高まり）に伴い、市場流通内や場外との競争の強まりが予見されるなか、グループ内外含む事業基盤強化や川下方向の業務統合が進む状況が確認された。 (3)A社は地方都市の中央卸売市場卸だが、同業他社に比べ年商の減少率は小さい。その背景・要因把握を前提に、取り組みの特徴や競争優位の源泉を考究した。川上・川下が嫌う取引・業務上の問題やコスト・リスクを積極的に取り込み、両者を「結ぶ」姿が確認された。市場流通又はその担い手に求められるのは受注に基づく従前の中継ぎ的業務ではなく、そうした対応姿勢で、それこそがコーディネート機能発揮の基礎条件と考えた。なお、上記検討内容と過去4年の各種調査・検討成果を総括し、地域漁業学会第64回大会・一般報告で口頭発表を行った。また同内容は現在投稿審査中である。