2019 Fiscal Year Research-status Report
薬物相互作用のモデル解析のためのin vivo酵素阻害パラメータ推定方法の確立
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18K06799
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Research Institution | Musashino University |
Principal Investigator |
伊藤 清美 武蔵野大学, 薬学部, 教授 (60232435)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
工藤 敏之 武蔵野大学, 薬学部, 講師 (10584815)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 薬物相互作用 / 生理学的薬物速度論モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はこれまでに、健康成人を対象とした臨床試験において、プロトンポンプ阻害薬であるボノプラザンの併用により、抗マラリア薬プログアニルの血中濃度が上昇し、主にシトクロムP450 (CYP) 2C19により生成する活性代謝物シクログアニルの血中濃度が低下することを明らかにした。本研究では、本相互作用がボノプラザンによるCYP2C19の阻害により定量的に説明できるか否かを評価する目的で、in vitro代謝阻害試験によりボノプラザンのCYP2C19阻害作用を評価し、さらに生理学的薬物速度論 (PBPK) モデル解析を実施した。 In vitro代謝阻害試験にはプールドヒト肝ミクロソームを使用し、CYP2C19基質としてS-メフェニトインを使用した。PBPKモデル解析には薬物相互作用シミュレーションソフトDDI Simulator (富士通九州システムズ) を使用し、ボノプラザンおよびプログアニルそれぞれの単独経口投与時の血中濃度推移を再現できる薬物動態パラメータを見積もった後、ボノプラザン併用時のプログアニルの血中濃度推移をシミュレーションした。 In vitro代謝阻害試験において、ボノプラザンはCYP2C19に対して可逆的および時間依存的な阻害作用を示したが、得られた阻害パラメータをPBPKモデルに組み込んで解析した結果、臨床試験で認められた相互作用はボノプラザン(親薬物)によるCYP2C19阻害のみでは説明できないことが示唆された。今後、ボノプラザンの代謝物による影響も組み込むことで、上記相互作用が再現できるか検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
In vitro代謝阻害試験の結果をPBPKモデルに組み込んで解析を実施することにより、臨床試験結果の検証を進め、研究成果について複数回の学会発表を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
In vitro代謝阻害パラメータを組み込んだPBPKモデル解析により臨床での薬物相互作用が再現できない原因として、阻害薬の代謝物の寄与について検討を進める予定である。
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Causes of Carryover |
In vitro薬物代謝試験に使用する試薬等の経費が予定より低く抑えられたため、未使用額が生じた。次年度も引き続き、主にin vitro薬物代謝試験に使用する予定である。
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