2021 Fiscal Year Research-status Report
明治・大正期のオペラ受容における日本語創作音楽劇の位置づけに関する研究
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18K12224
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大西 由紀 東京大学, 大学院総合文化研究科, 学術研究員 (20794176)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 日本語創作音楽劇 / 日本オペラ史 / 女優 / レヴュー / 宝塚少女歌劇 / 帝国劇場 / アダプテーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は明治30年代後半から大正期にかけて、西洋のオペラの刺激を受けて書かれたさまざまな日本語創作音楽劇を対象とし、台本と同時代批評の分析を通じて、これらの作品群を、日本のオペラ受容史の中に新たに位置づけることを目指している。具体的な研究対象としては、(イ)坪内逍遙らによる一連の日本語創作音楽劇、(ロ)帝国劇場の女優劇のうち、洋楽曲の挿入された喜劇およびレビュー、(ハ)初期宝塚少女歌劇の上演作品、の3系統の作品群を想定している。 研究の4年目となる令和3年度には、(ハ)に関して、前年度までに収集済みの台本・楽譜資料の分析を進めるとともに、国立国会図書館所蔵の歴史的音源(大部分は館内限定公開)の網羅的調査を実施した。この音源調査は、宝塚少女歌劇の楽譜資料を多数所蔵する阪急文化財団池田文庫(大阪府池田市)での資料調査が、コロナ禍による移動制限などの理由で、実施困難と見込まれたため、東京都内で資料にアクセスできるという理由で代替的に実施したものである。しかし結果的には、出版楽譜に記録されていない洋楽曲受容の痕跡が確認できたほか、歌劇団の演奏技術の変遷も辿れるなど、少なからぬ収穫を得た。 この調査結果は、所属研究所主催のシンポジウムで英語による口頭発表を行ったのち、フィードバックを踏まえて論文にまとめる予定であったが、コロナ禍によりシンポジウムの開催が中止となってしまった。シンポジウムのテーマに合わせて設定していた題目を、より本研究課題の関心に即したものへと修正した上で、論文を執筆し学会誌に投稿することを目指したが、年度内の完成には至らなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ禍により、各種一次資料を所蔵する図書館の利用に大幅な制約が加えられたこと、社会的要請を受けて教育活動に例年以上の時間を充てる必要があったことなどは、前年度の状況から変わっておらず、研究の進捗状況は当初の予定よりも遅れている。 先の項目で挙げた3つの研究対象作品群のうち、(イ)(ロ)については一次資料の網羅的収集が完了したものの、(ハ)については引き続き資料収集が必要であると考えている。補助事業期間の1年間の延長を申請し、受理された。 (ロ)(ハ)については前年度までに予備的調査の内容を論文にまとめて発表しており、有益なフィードバックを得ている。これに、(ハ)について今年度実施した調査結果を踏まえて、個別の作品を実証的に分析した論文を準備中であるが、完成は次年度に持ち越された。 (イ)(ロ)の作品群についても、収集済みの一次資料を読み進めている。(ロ)(ハ)の区分をまたいで繰り返し使われるプロットやモチーフが見えてきたため、この点については次年度に国際学会での口頭発表と論文作成を予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の最終年度となる令和4年度には、帝劇女優劇と宝塚少女歌劇のいずれにおいても好んで用いられたモチーフとプロットに関する分析を進める。6月にオンラインで実施される国際学会での口頭発表が予定されており、海外の研究者からのフィードバックを得て、論文の完成を目指したい。 また、過年度のシンポジウムに向けて準備していた、宝塚少女歌劇の大正~昭和戦前期の上演作品における欧米の音楽劇映画の影響に関する分析についても、研究を継続する。感染症の拡大状況次第ではあるが、池田文庫で楽譜資料調査を実施し、資料の不足を補った上で、論文を完成させる。
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Causes of Carryover |
コロナ禍による移動制限のため、予定していた関西圏での調査の実施がかなわなかった。また、国内外の学会発表へのエントリも見合わせたことから、令和3年度には、前年度に引き続き一切の旅費が発生しなかった。結果的に、372,500円の次年度使用額が発生した。 この次年度使用額は、令和4年度中に予定している関西圏での資料調査と、オンライン開催の国際学会への参加費などとして使用予定である。
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