2021 Fiscal Year Research-status Report
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18K12650
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
島田 裕子 京都大学, 法学研究科, 准教授 (80551473)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 就業規則 / 平等取扱い / 内容規制 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、昨年度に引き続き、ドイツ労働契約に関する内容規制の文献調査を中心に行った。とりわけ、労働契約の内容を事後的に変更するための条項に関して、連邦労働裁判所がどのような判断を行ってきたかについて資料収集および調査を行った。とりわけ、事後的な契約変更の可能性を明示的に留保する場合であっても、判例法理によれば、侵害されてはならない「労働契約の核心」というものがある。個々の裁判例において、この概念がどのような内容のものと理解され、またどのような効力を有するものと位置づけられているかについて検討を行った。 また、上記の「労働契約の核心」のほかに、公正な労働条件の一要素として「透明性」の要請がある。つまり、労働者が明確に労働条件変更の可能性等を予測することができなければ、不当に労働者を害するものとして、変更留保に関連する条項が違法と判断される可能性がある。これは、現在では民法典307条1項2文によって「透明性」明文上要求されるが、約款規制が労働契約に適用される以前から、判例法上求められてきたものである。今年度は、この概念についても連邦労働裁判所の個々の裁判例を中心に調査を行った。内容規制については、裁判例・文献ともに分量が非常に多く、この調査・分析にはまだしばらくかかると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度も、隔離期間等との関係から、現地での資料調査やヒアリングの実施がかなわなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度も、ドイツでの裁判例を引き続き注視しつつ、日本法との関連についても検討を進める予定である。ドイツ法については、内容規制と平等との関連性についてさらに掘り下げて検討していく。
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Causes of Carryover |
隔離期間等との関係で、ドイツ現地での調査がかなわなかったことから、支出が予定よりも低い額となっている。2022年度以降、渡航が可能になれば旅費として執行することを考えている。
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