2007 Fiscal Year Annual Research Report
神経細胞多様化と神経回路組織化をもたらす分子メカニズムの解析
Project/Area Number |
19100006
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
八木 健 Osaka University, 大学院・生命機能研究科, 教授 (10241241)
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Keywords | カドヘリン / 神経細胞 / 多様性 / 神経回路 / 遺伝子制御 |
Research Abstract |
脳は多様化した神経細胞より構成され、組織化された神経回路網を形成している。CNR/プロトカドヘリン分子群はゲノム染色体で遺伝子クラスター構造を形成し、個々の神経細胞で異なる組み合わせで発現しており、神経細胞の多様化と神経回路形成との関連性が示唆されている。本年度、1)個々の神経細胞で異なる発現様式を生み出す分子メカニズムの解析を目的に、in situハイブリダイゼーション法及び単一プルキンエ細胞における分注逆転写PCR法を行い、プロトカドヘリンβの個々の神経細胞で異なる発現様式を明らかにした。その結果、プルキンエ細胞だけでなく、嗅球、海馬、大脳皮質、三叉神経節、背根神経節における分化神経細胞においても、個々での差次的発現パターンが確認された。また、各プロトカドヘリンα遺伝子についてゲノムDNAメチル化状態の解析を行った結果、プロモーター領域でのDNAメチル化が遺伝子発現制御に関わることが示唆された。また、個々の神経細胞で差次的発現をするプロトカドヘリンα遺伝子のプロモーター領域のDNAメチル化状態は、生体の脳やプルキンエ細胞においてモザイクであり、差次的DNAメチル化制御が示唆された。更に、染色体上における遺伝子座調節領域などのシスDNA制御エレメントについての解析を進め、候補領域を欠損させた遺伝子変換マウスの作製を行っている。CNR/プロトカドヘリン分子群の神経回路形成における分子機能の解析についても研究を進め、本年度、CNR/プロトカドヘリンαの定常領域を欠損させたマウスを作製し、嗅神経の神経投射パターンの解析を行った。その結果、CNR/プロトカドヘリンα定常領域欠損マウスでは、発現する匂い受容体に依存した神経収束が正常におこらず、異所的な神経投射が認められた。これらの結果より、CNR/プロトカドヘリンαが正常な神経回路形成に必要であることが始めて示された。
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Research Products
(30 results)