2010 Fiscal Year Annual Research Report
神経細胞多様化と神経回路組織化をもたらす分子メカニズムの解析
Project/Area Number |
19100006
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
八木 健 大阪大学, 大学院・生命機能研究科, 教授 (10241241)
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Keywords | カドヘリン / 神経細胞 / 神経回路 / 遺伝子クラスター / 多様性 / 遺伝子制御 / エピジェネティック |
Research Abstract |
脳は多様化した神経細胞より構成され,組織化された神経回路網を形成している。この脳のシステムを理解してゆく為には、神経細胞の多様化と神経回路形成とを統合して捉える分子メカニズムを明らかにする必要がある。クラスター型プロトカドヘリン分子群はゲノム染色体で遺伝子クラスター構造を形成し、個々の神経細胞で異なる組み合わせで発現している。本年度は、このクラスター型プロトカドヘリンの個々の神経細胞で異なる発現機構を明らかたする目的で、シスDNA制御エレメントと発現調節因子の解析を行った。シスDNA制御エレメントについては、異種間で保存されているDNA領域の解析、遺伝子発現解析により行い・プロトカドヘリンγ遺伝子クラスター下流でエンハンサー活性をもつシスDNA制御エレメントを特定することに成功した。また、この領域を欠損させたマウス作製により、この領域がγ遺伝子クラスターを越えて300kb以上も離れたβ遺伝子クラスター全体を制御する領域(クラスター制御領域)であることを明らかにした。また、発現調節因子の解析では、プロトカドヘリン遺伝子クラスターに結合する因子であるCCTFを神経細胞特異的に欠損させたマウスを作製し、クラスター型プロトカドヘリンの発現の解析を行った。その結果、CCTFがクラスター型プロトカドヘリンの個々の神経細胞での確率的発現に関わることを明らかにした。更に、これらのクラスター制御領域欠損マウス、神経細胞特異的CCTF欠損マウスにおける大脳皮質を解析した結果、体性感覚野におけるバレル構造の消失が認められた。これらの結果により、クラスター型プロトカドヘリンが、個々の神経細胞での確率的発現制御を介して、機能的神経回路形成に関わる可能性が示唆された。
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Research Products
(24 results)