2008 Fiscal Year Annual Research Report
南西諸島の沈み込みに伴い巨大地震が発生するのか?-海底地殻変動観測からの検証
Project/Area Number |
19340126
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
中村 衛 University of the Ryukyus, 理学部, 助教 (60295293)
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Keywords | 固体地球物理学 / 津波 / 地震 / 測地 / 自然災害 |
Research Abstract |
南西諸島海溝付近に巨大地震を起こしうる固着域があるか否かを検証するため、沖縄本島南東沖にて海底地殻変動観測をおこなった。2008年度は、沖縄県水産海洋研究センター所有の図南丸にて2回の観測を実施した。 海底地殻変動観測は平成20年7月7日〜9日(第1回目)および平成20年ll月17日〜19日(第2回目)の2回にわたり、図南丸にて実施した。海域は沖縄本島南東沖の琉球海溝付近(北緯25.3987°、東経127.9154°、水深3000m)である。第1回目の観測、第2回目の観測ともに、前年度設置した海底局の周囲を低速で航行し、船に設置したトランスデューサより音波を約10秒間隔で出し、それを海底局で受信・送信し、再び船に音波が帰ってくるまでの到達時間を測定した。音響測距観測は海底局3台の重心を中心とする半径0.7kmと2.2kmの円周上で、船を低速で航行させながら行った。この観測と平行してGPS連続観測および6時間おきにCTD観測を実施した。ただし第2回目の観測では、音響装置の不具合により、良好なデータを得ることができなかった。これまでに得られた結果により、琉球海溝が東方向に19cm移動している傾向が得られた。これは観測前の作業仮説(固着域があれば海底局は北西方向に移動する、固着域がなければ静止している)とは異なる結果である。この原因として、この海底局直下でスロー地震が発生した可能性を現在提唱している。今後はデータの解析およびさらに年2回の観測を継続し、この異常な動きが残存しているか否か、そして本当に2008年に琉球海溝でスロー地震が発生したのか決着をつける予定である。
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Research Products
(7 results)