2009 Fiscal Year Annual Research Report
南西諸島の沈み込みに伴い巨大地震が発生するのか?-海底地殻変動観測からの検証
Project/Area Number |
19340126
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
中村 衛 University of the Ryukyus, 理学部, 准教授 (60295293)
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Keywords | 固体地球物理学 / 津波地震 / 地震 / プレート間カップリング / 測地 / 自然災害 |
Research Abstract |
南西諸島海溝付近に巨大地震を起こしうるプレート間カップリングがあるか否かを検証するため、沖縄本島南東沖にて海底地殻変動観測をおこなった。2009年度は、沖縄県水産海洋研究センター所有の図南丸にて2回の観測を実施した。 海底地殻変動観測は平成21年5月25日~27目(第1回目)および平成21年11月24日~26日(第2回目)の2回にわたり、図南丸にて実施した。海域は沖縄本島南東沖の琉球海溝付近(北緯25.3987°、東経127.9154°、水深3000m)である。第1回目の観測、第2回目の観測ともに、2007年度設置した海底局の周囲を低速で航行し、船に設置したトランスデューサより音波を約10秒間隔で出し、それを海底局で受信・送信し、再び船に音波が帰ってくるまでの到達時間を測定した。この観測と平行してGPS連続観測および6時間おきにCTD観測を実施した。 過去3年間の観測により、中部琉球海溝の海溝軸付近でプレート間カップリングによるものと見られる陸側への変位が起こっていることが明らかになった。変位の大きさは北西方向へ年間7cmである。この変位を用いて推定したプレート間カップリング領域の幅は約50kmである。この調査によって、琉球海溝においても海溝軸付近には固着域が分布していることが明確になってきた。また1771年八重山津波の波源域の再検討を行った結果、この津波の波源域が南部琉球海溝沿いであることが判明した。さらに琉球海溝では南海トラフで見られる超低周波地震が頻繁に発生している結果が得られた。これまでは琉球海溝ではプレート間はなく、ただ沈み込んでいるだけと見られていたが、これらの研究成果から、琉球海溝でもプレート間カップリングが存在し海溝型大地震が起こる可能性が高いことが明らかになった。
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Research Products
(18 results)