2009 Fiscal Year Annual Research Report
トルコにおける被災市街地の移転復興が現地復興に与えた影響と復興手法としての可能性
Project/Area Number |
19401004
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
中林 一樹 Tokyo Metropolitan University, 都市環境科学研究科, 教授 (80094275)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 浩敬 富士常葉大学, 環境防災学部, 教授 (80340131)
市古 太郎 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 助教 (10318355)
澤田 雅浩 長岡造形大学, 造形学部, 准教授 (00329343)
福留 邦洋 新潟大学, 災害復興科学センター, 特任准教授 (00360850)
石川 永子 (財)ひょうご震災記念21世紀研究機構, 人と防災未来センター, 専任研究員 (00551235)
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Keywords | トルコ / マルマラ地震 / 都市復興 / 住宅再建 / 災害 |
Research Abstract |
トルコ・マルマラ地震から10年目の復興状況について、アダパザル市を中心に現地復興調査を実施するとともに、震災10周年記念事業に参加して、発表と討論を行った。 自己所有していた住宅及び事業所が全壊した被災者を対象に、郊外に復興住宅団地及びそのセンター地区に復興業務ビルを建設するという「移転復興」はトルコの震災復興における最も特徴的な復興プロセスであり、その対応は地震から3~5年鑑で基本的には完了した。本研究のテーマは、都市計画的に震災以前に6~8階建てが許容されていた市街地においても、地盤条件に関わる耐震的安全性の確保のために、3階建て程度以下に建築規制を強化(ダウンゾーニング)されているなかで、被災地での「現地復興」がどのように進展するのかである。地震から7年目以降に、この被災市街地での現地復興が顕著に進展し始めたため、定点観測的に被災市街地の再建過程を現地調査してきたが、10年目の復興状況について、本年度は現地調査によるデータベースを構築したものである。 同時に、被災建物の再建プロセスに関して被災者等のヒアリングを継続し、区分所有の集合住宅の再建も、業務ビルの再建事例と同様に、全壊した被災ビルの関係権利者の合意による再建は建築規制強化のため不可能で、有力権利者あるいは外部からの投資家が全被災者の権利を買い取ることで、住宅及び店舗等を3階建て以下で再建し、店舗の賃貸や住宅の分譲あるいは賃貸を進めるという被災建物の再建プロセスが一般化していることが確認された。その結果、被災都市の中心商店街においても街並み景観は櫛の歯状に建物階数か不揃いの街並み景観が形成されている。同時に、被災地域の人口は震災以前の規模を超え、市街地は復興住宅団地を含めて郊外に拡散的に開発され、震災復興段階から、新しい大都市圏開発計画の策定とそれに基づく都市形成推進段階に至っていることを確認することができた。
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Research Products
(5 results)