2008 Fiscal Year Annual Research Report
地球の大酸化イベント酸素危機が導く光合成生物の適応進化
Project/Area Number |
19570036
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
藤田 祐一 Nagoya University, 大学院・生命農学研究科, 准教授 (80222264)
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Keywords | 光合成 / クロロフィル生合成 / ラン藻(シアノバクテリア) / コプロポルフィリノーゲンIII酸化酵素 / 大酸化イベント / オキシゲナーゼ / radical SAM / 代謝系の進化 |
Research Abstract |
光合成生物の酸素環境への適応進化について、ヘム生合成系と共有されているクロロフィル生合成系の前半のコプロポフィリノーゲンIII酸化酵素(CPO)について解析を行った。CPOは、コプロポルフィリノーゲンIIIを酸化的脱炭酸によってプロトポルフィリノーゲンIXに変換する酵素で、O_2を電子受容体とするHemFとRadical SAMファミリーに属するHemNという構造的に全く異なる2種類の酵素が存在する。Synechocystis sp. PCC 6803のゲノムには既知のhemFと高い類似性を示すsll1185、既知のhemNと類似性を示すsll1876とsll1917が存在する。これらの遺伝子の一つが欠損した3つの変異株を単離し、その形質を検討した。Δsll1185変異株は好気条件では生育できず、コプロポルフィリンIIIの蓄積を示す蛍光スペクトルを示した。一方、Δsll1876変異株は、微好気条件において有意な生育不良が認められ、た。この条件においては、5-アミノレブリン酸添加によってコプロポルフィリンの蓄積が認められた。Δsll1917変異株は、検討した条件ではいずれも野生株と変わりなく生育した。各タンパク質をE. coliで発現させて酵素活性を検討した。Sll1185は好気条件でCPO活性を示したことから、Sll1185がO_2依存型CPOであることが確認された。一方、Sll1876及びSll1917ではSll1876のみがNADHに依存したCPO活性を示した。この結果はSll1876がRadical SAM型CPOであることを示している。欠損株の形質を考え合わせると、Synechocystis sp. PCC 6803では、Sll1185とSll1876は、各々好気条件及び微好気条件において主要なCPOとして機能していることが示唆された。
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