2007 Fiscal Year Annual Research Report
分裂酵母を材料としたTORシグナル経路の制御機構と細胞機能の遺伝学的研究
Project/Area Number |
19570126
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
瓜谷 真裕 Shizuoka University, 理学部, 教授 (40193974)
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Keywords | シグナル伝達 / 分裂酵母 / ラバマイシン / 栄養 / タンパク質リン酸化 / TOR |
Research Abstract |
TORはヒトから酵母まで広く存在するタンパク質キナーゼであり,栄養状況に応じて細胞の増殖と成長を制御する新たなシグナル経路の中心を担う。最近,腫瘍抑制遺伝子の産物(TSC1,TSC2)がTORを制御することがわかり,癌治療の視点からも注目を集めている。分裂酵母は遺伝学が使える上に,TORの上流がヒトと似ているので,TOR経路の制御機構を研究する良いモデル生物である。分裂酵母にはTOR1とTOR2があり,TOR1は生育に非必須なのに対し,TOR2は必須である。しかし,TOR2の詳細な機能はまだよく分かっていなかった。また,不思議なことに分裂酵母の増殖はラパマイシンで阻害されない。その理由はまだ分かっていなかった。そこで,TOR2のラパマイシン受性変異株を取得し,解析した。この株は,ラパマイシン無添加では正常に増殖したが,ラパマイシン存在下では増殖しなかった。この細胞は丸くて小さく,G1のものが大半であり,また窒素源飢餓特異的に起きる性分化も見られた。このことは,ラパマイシンによるTOR2の不活性化が窒素源飢餓応答を引き起こすことを示唆した。ラパマイシンによる阻害にはFKBP12というタンパク質が必要だが,このラパマイシン感受性株もFKBP12が存在しないとラパマイシンによる阻害が起きなかった。次に,ラパマイシン感受性変異株にゲノムライブラリーを導入し,ラパマイシン耐性を示すコロニーを選択し,そこからプラスミドを抽出して,ラパマイシン耐性を与える遺伝子を解析した。その一つは核タンパク質であったが,この核局在はラパマイシンによって細胞質へと変化することが分かり,TOR2の下流に位置するものであることが示唆された。
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Research Products
(2 results)