2007 Fiscal Year Annual Research Report
細菌コロニーバイオフィルム中で特異的に起こる新規な遺伝子水平伝播現象の解析
Project/Area Number |
19580089
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
前田 純夫 Nara Women's University, 生活環境学部, 准教授 (90335472)
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Keywords | 遺伝子水平伝播 / バイオフィルム / 大腸菌 |
Research Abstract |
本研究では、申請者が最近発見した大腸菌コロニーバイオフィルム中での非接合性・非ウイルス性の新規な遺伝子水平伝播現象の詳細と普遍性を明らかにすることを目的とする。三年計画の初年度である平成19年度は、申請時計画に基づき、この現象のメカニズム解明を目指して、以下の3つの解析を行った。まず第一に、DNAチップを用いた遺伝子発現変化の解析を行った。本現象が起こりにくい液体培養時と起こりやすいコロニーバイオフィルム培養時との間の全遺伝子発現の変化をDNAチップで解析した。現在、大きな変化の出た個別遺伝子に関して、さらに詳細な発現解析を遂行中である。第二に、遺伝子欠失変異株ライブラリを用いた解析である。本年度は、この解析のための第一段階として、約4千菌株の多量解析を可能とする独自のハイスループット実験系の構築を目指し成功した。現在この系を用いて、本遺伝子水平伝播現象に関与する遺伝子の網羅的探索を試みている。第三に、遺伝子水平伝播発生条件の探索によるメカニズム解析である。本遺伝子伝播現象が発生しやすくなる諸条件を探索し、菌株・プラスミド・培養条件など、いくつかの促進条件を見出すことに成功した。なお上記3つの解析とも、当初計画にほぼ添う形で進捗しており、遺伝子水平伝播のメカニズム解明に繋がる新たな発見を得つつある。また来年度計画の一部である、他細菌を用いた遺伝子水平伝播実験に関しても、現在予備的解析を進めつつある。
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