2008 Fiscal Year Annual Research Report
細菌コロニーバイオフィルム中で特異的に起こる新規な遺伝子水平伝播現象の解析
Project/Area Number |
19580089
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
前田 純夫 Nara Women's University, 生活環境学部, 准教授 (90335472)
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Keywords | 遺伝子水平伝播 / バイオフィルム / 大腸菌 |
Research Abstract |
本研究では、申請者が最近発見した大腸菌コロニーバイオフィルム中での非接合性・非ウイルス性の新規な遺伝子水平伝播現象の詳細と普遍性を明らかにすることを目的とする。三年計画の第二年度である平成20年度は、申請時計画と前年度結果を踏まえ、この現象のメカニズム解明と普遍性検証を目指して、以下の4つの解析を行った。まず第一に、大腸菌の遺伝子伝播に関与する候補遺伝子の網羅的スクリーニング解析を行った。大腸菌遺伝子の網羅的欠失変異株ライブラリに対して、申請者が前年度に確立した独自のハイスループット実験系によるスクリーニングを行い、遺伝子伝播にプラスに働くと推定される候補遺伝子を数十ヶ選び出すことに成功した。第二に、条件変化による大腸菌の遺伝子水平伝播のメカニズム解析を行った。高頻度伝播をもたらす菌株およびプラスミドを特定し、菌株側およびプラスミド側の要因解析を行った。その結果、それぞれの要因に関して主要な特徴を解明することに成功した。第三に、本現象の普遍性を検証する実験の一つとして、実験室外環境を考慮した食品成分や天然水成分上での大腸菌培養実験も行い、そうした条件下でも遺伝子伝播が発生することを確認した。第四に、大腸菌以外の菌として、枯草菌を含めた実験系を用い、その条件検討を行った。現在、大腸菌-枯草菌の混合培養系を用いた予備解析を行っている。上記4つの解析とも、当初計画に添う形で進捗しており、これまでの教科書的知識にはない新たな遺伝子水平伝播機構の存在と、その具体像を明らかにする新発見を多数得ることに成功しつつある。
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Research Products
(5 results)