2007 Fiscal Year Annual Research Report
酸化ストレスによる魚類筋原繊維中のミオシンの生化学的性質と食品機能特性の変化
Project/Area Number |
19580240
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
大泉 徹 Fukui Prefectural University, 生物資源学部, 教授 (20254245)
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Keywords | ヒドロキシラジカル / 酸化 / 筋原纎維 / ミオシン / 架橋形成 / ジスルフィド結合 / 分子内架橋 / 加熱変性 |
Research Abstract |
貯蔵・加工中に起こる筋原繊維(Mf)タンパク質の酸化は魚肉加工品の品質に大きな影響を及ぼすと考えられているが、その機序には不明な点が多い。そこで、本年度はヒドロキシラジカル生成系(HRGS)で酸化したMf中のミオシンに形成されるジスルフィド(S-S)架橋部位を検討するとともに、ミオシンの加熱変性が架橋形成に及ぼす影響についても検討を行った。コイMfとそのキモトリプシン(Chy)消化物(ミオシンの頭部、S-1と尾部、rodを含む)を0.1mMアスコルビン酸、0.01mMFeCl_3および0〜10mMのH_2O_2からなるHRGSで酸化した。これらをSDS-PAGE(還元剤非存在下)に供し、S-S架橋形成の進行を追跡した。また、酸化したMfのChy消化物の組成についても検討した。酸化によるミオシンの凝集はそれらの塩溶解性(Sol)と40%飽和硫安抽出性(AS)の変化から検討した。HRGS処理によりMf中のミオシンにはS-S架橋が形成された。Chy消化物を酸化すると、従来報告されているニワトリミオシンの揚合とは異なり、rodだけでなくS-1の一部も架橋を形成した。酸化Mf中のミオシンのChy消化物の組成からも、コイミオシンの架橋形成がミオシン分子の全領域で起こることが示唆された。架橋ミオシンのSolとASは高値を示し、単量体ミオシンや凝集度の小さいミオシンが含まれることから、酸化によるミオシンのS-S架橋形成は、まずミオシンの内部(分子内)で起こり、酸化の進行とともに分子間架橋が生成すると考えられた。さらに、ミオシンの加熱変性は酸化による架橋形成を強く促進することが明らかになった。
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Research Products
(1 results)