2008 Fiscal Year Annual Research Report
酸化ストレスによる魚類筋原繊維中のミオシンの生化学的性質と食品機能特性の変化
Project/Area Number |
19580240
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
大泉 徹 Fukui Prefectural University, 生物資源学部, 教授 (20254245)
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Keywords | ヒドロキシラジカル / 臭素酸カリウム / 酸化 / 筋原繊維 / ミオシン / 凝集 / 架橋重合 / ジスルフィド結合 |
Research Abstract |
貯蔵・加工中に各種の酸化ストレスによって引き起こされる筋原繊維(Mf)タンパク質の生化学的性質の変化と食品機能特性との関係を明らかにするための基礎研究として、ヒドロキシラジカル生成系(HRGS)とブロム酸カリウム(KBrO_3)で酸化処理したMf中のミオシンの架橋形成と凝集の進行様式を比較検討した。ミオシンの架橋形成は、還元剤存在下または非存在下のSDS-PAGEから、凝集の進行は塩溶解性と40%飽和硫安抽出性の変化から検討した。0.1mMアスコルビン酸、0.01mMFeCl_3および0〜5mMのH_2O_2からなるHRGSまたは0〜5mMのKBrO_3でコイMfを処理しても、還元剤存在下のSDS-PAGE図形には変化が見られず、いずれの場合も共有結合に匹敵する強度の結合を介したミオシンの架橋形成は起こらないことが示された。HRGSで処理したMfでは、還元剤非存在下のSDS-PAGEにおけるミオシン重鎖(MHC)の減少度合が、40%飽和硫安抽出性の低下度合を大きく上回ることから、ミオシンの分子内にジスルフィド架橋が形成されることが示唆された。さらに、HRGSによる酸化の進行とともに、ミオシンの塩溶解性と40%飽和硫安抽出性が低下したことから、分子間のジスルフィド結合や非共有結合を介して凝集したミオシンも生成することが推察された。一方、KBrO_3で処理したMfでは還元剤非存在下のSDS-PAGEにおけるMHCの減少度合よりも、40%飽和硫安抽出性の低下度合が大きいことから、ジスルフィド架橋の形成に先行して、非共有結合によるミオシンの凝集が進行したことが示唆された。このように酸化ストレスの種類によってミオシンの架橋形成と凝集の進行様式は大きく異なっており、これらが酸化によるMfタンパク質の食品機能特性の変化に影響を及ぼすことが考えられた。
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Research Products
(1 results)