2008 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内ニトロ化シグナルのグルタチオンによる制御機構の解明
Project/Area Number |
19590253
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
藤井 重元 Kumamoto University, 大学院・医学薬学研究部, 助教 (00325333)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤池 孝章 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (20231798)
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Keywords | 一酸化窒素 / グルタチオン / サイクリックGMP / ニトロ化 / 8-ニトロcGMP / S-グアニル化 / 活性酸素 |
Research Abstract |
本研究は、我々が最近発見したニトロ化環状ヌクレオチド8-ニトログアノシン-3',5'-環状1リン酸(8-ニトロcGMP)によるチオール基に対するcGMP付加反応(S-グアニル化)の細胞内シグナルにおける役割と、細胞内グルタチオンによるその制御機構を解明することを目的としている。本年度は、転写因子Nrf2の制御蛋白質であるKeap1に注目し、同蛋白質のS-グアニル化とそのシグナルとしての役割について検討した。抗S-グアニル化蛋白質抗体を用いたウエスタンブロットにより試験管内で8-ニトロcGMPと蛋白質を反応させたときのS-グアニル化を調べると、対照としたウシ血清アルブミンではグルタチオン(10mM)によりS-グアニル化がほぼ完全に抑制されたのに対し、Keap1はグルタチオン存在下においても強くS-グアニル化され、Keap1が極めてS-グアニル化を受けやすい蛋白質であることが分かった。ラットグリオーマ由来C6細胞にNO産生刺激(NO放出試薬、LPS/サイトカイン)を与えると、8-ニトロcGMPの生成に伴い、Keap1のS-グアニル化が観察された。これらの細胞では、Keap1のS-グアニル化に伴いNrf2の活性化が見られ、さらにヘムオキシゲナーゼ-1などのNrf2により支配されている抗酸化蛋白質遺伝子群の発現増加が見られた。以上より、細胞内グルタチオンは、Keap1などのセンサー蛋白質の特異的なS-グアニル化に寄与しており、8-ニトロcGMPによる細胞内シグナル伝達の制御に関与していることが示唆された。
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