2007 Fiscal Year Annual Research Report
新規小胞体caluminによる細胞内小器官発シグナルの制御機構の解明
Project/Area Number |
19590267
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山崎 哲男 Kyoto University, 薬学研究科, 准教授 (90330208)
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Keywords | 小胞体 / 細胞内小器官 / カルシウム / シグナル |
Research Abstract |
小胞体は蛋白質合成・修飾や脂質合成の場であるとともに、主要なCa2+貯蔵庫としても機能している。Ca2+ホメオスターシスが撹乱されると、unfolded protein response (UPR)と称されるストレス応答が小胞体から起動される。小胞体への負荷の程度に応じて、UPRは細胞生存および細胞死のいずれにも働き得る。しかしながら、優先する細胞運命を決定する分子機構は大部分不明である。一方、小胞体の機能異常は神経疾患や発癌との関連が知られ、小胞体シグナルの分子的理解とその人為的制御は急務である。研究代表者は小胞体による情報統合・シグナル発信に関る分子実体を明らかにする目的で小胞体局在分子を探索し、caluminを単離した。樹立したcalumin欠損マウスの大部分(75%)が胎生中期で死亡した。胎生9.5日にはcalumin欠損胎仔の半数以上に心嚢液貯留がみられ、循環系の障害が示唆された。calumin欠損胎仔には原始的な血管叢が認められたものの、多様な血管が複雑に連絡する成熟血管網の形成には至らなかった。そこで、calumin欠損胎仔の血管構築障害が循環不全ひいては胎生致死に帰結したと推察し、その分子基盤の解明に取り組んだ。マウス胚性線維芽細胞を用いてcaluminがCa2+調節に関与することを見出したので、個々の胎仔レベルでも主要なCa2+シグナル経路を精査した。その結果、caluminの欠損下ではCa2+依存的転写因子であるNFATの活性化が障害されている事実が判明した。calumin欠損マウスとNFATc3/c4二重欠損マウス双方が類似した血管異常を呈する点を考え合わせると、caluminはNFATを活性化することによって小胞体シグナルの発信に関与している可能性が考えられた。
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Research Products
(4 results)