2009 Fiscal Year Annual Research Report
24時間咽頭食道内pH・インピーダンスモニタリングによる食道咽頭逆流の解析
Project/Area Number |
19590713
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
河村 修 Gunma University, 医学部, 助教 (60292596)
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Keywords | 胃食道咽頭逆流 / 胃食道逆流症上気道合併症 / インピーダンス・pHモニタリング / 慢性咳嗽 / 弱酸性咽頭内気体逆流 |
Research Abstract |
方法:PPI治療に反応した慢性咳嗽患者(CC群)、GERD患者(GE群)、健常ボランティア(C群)各10名に対して24時間咽頭食道内インピーダンス・pHモニタリングを施行した。モニタリングには、Sandhill Scientific社製の装置を用いた。弱酸性逆流は、pH4未満にはならないpH1以上の低下と定義した。胃食道逆流と咳嗽との関連を解析するため症状関連確率(symptom association probability, SAP)を計算した。CC群6名において、PPI全量8週間投与後インピーダンス・pHモニタリングを再測定した。症状はF-scaleを用いて評価した。 結果:弱酸性咽頭内気体逆流をCC群10例中8例に認め、他群に比し有意に増加していた(p<0.05)。酸性と弱酸性の嚥下誘発性の食道咽頭逆流(EPR)は、CC群においてのみ認められ、他群に比し有意に増加していた(p<0.05)。CC群10例中9例に酸性および/または弱酸性EPRを認めたが、他の1例は非酸性のEPRのみしか認めなかった。この1例と他の2例において、胃食道逆流と咳嗽との間でSAP陽性であり、有意な関連を認めた。CC群6名におけるPPI投与後のモニタリングでは、嚥下誘発性の酸性と弱酸性EPRは消失し、弱酸性咽頭内気体逆流は有意に減少し、症状も投与前に比し有意に改善した(p<0.05)。 結論:PPI治療に反応した慢性咳嗽患者のほとんどにおいて、弱酸性咽頭内気体逆流および/または酸性・弱酸性の嚥下誘発性食道咽頭逆流を認めた。咽頭内への酸性の霧状の気体逆流または酸性の液体逆流による直接作用により患者群の咳嗽が引き起こされている可能性が示唆された。少数の患者においては、食道内酸逆流により迷走神経反射を介して間接的に咳嗽が引き起こされていると考えられた。
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