2007 Fiscal Year Annual Research Report
循環器疾患発症における体内時計の役割の解明と治療戦略の開発
Project/Area Number |
19590853
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
前村 浩二 The University of Tokyo, 医学部・附属病院, 講師 (90282649)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永井 良三 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (60207975)
渡辺 昌文 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (60360096)
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Keywords | 循環器・高血圧 / 体内時計 / 薬理学 / 生理学 |
Research Abstract |
本研究は、臨床的に知られている循環器機能、生活習慣病のサーカディアンリズムの現象を、体内時計の分子メカニズムの観点で明らかにし、時間を考慮した全く新しい視点からの循環器疾患の予防法、時間治療の開発をめざすことを目的に遂行した。アデノウイルスを用いて、ClockとBmalを培養血管内皮細胞で過剰発現させ、発現が上昇し、なおかつ発現が日内変動を呈することがわかっている遺伝子を選別すると転写因子、分泌タンパク、膜受容体など28個の遺伝子が体内時計の標的遺伝子の候補として同定された。まずその中でトロンボモジュリン(TM)について解析した。TM mRNAの発現は、マウスの心臓および肺において明確な日内変動を示していた。TMプロモーターを用いたプロモーターアッセイおよびゲルシフトアッセイにより、CLOCK/BMALがTMプロモーター内のE-box配列に直接結合し、プロモーターを活性化することを明らかにした。Clock変異マウスは体内時計に異常を来すことが知られているが、このClock変異マウスではTM mRNA発現の日内変動は消失していたことから、TM発現はin vivoにおいても時計遺伝子により調節されていることが明らかになった。以上より。本研究において血管内皮細胞に存在する末梢時計により、TM発現が制御されることが確認された。TM発現の日内変動は、心筋梗塞発症の日内変動に関わっている可能性が高く、より詳細にその発現を検討することにより、心血管疾患の発症およびその予防に向けて新しいアプローチができる可能性がある。現在、DNAマイクロアレイにより同定された他の体内時計に関連する他の遺伝子群についてさらにその発現パターン、循環機能調節における役割を解析中である。
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