2008 Fiscal Year Annual Research Report
循環器疾患発症における体内時計の役割の解明と治療戦略の開発
Project/Area Number |
19590853
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
前村 浩二 Nagasaki University, 医歯薬学総合研究科, 教授 (90282649)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 昌文 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (60360096)
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Keywords | 循環器・高血圧 / 体内時計 / 薬理学 / 生理学 |
Research Abstract |
本研究は、臨床的に知られている循環器機能、生活習慣病のサーカディアンリズムの現象を、体内時計の分子メカニズムの観点で明らかにし、時間を考慮した全く新しい視点からの循環器疾患の予防法、時間治療の開発をめざすことを目的に遂行した。昨年度の研究で培養血管内皮細胞において局所の体内時計により発現の日内変動が調節されている候補遺伝子として転写因子、分泌タンパク、膜受容体など28個の遺伝子が同定された。さらにその中でトロンボモジュリン(TM)について解析し、TM発現の日内変動が、末梢体内時計により調節されている可能性を示し、心血管疾患の発症およびその予防に向けて新しいアプローチができる可能性を示した。今年度はさらに遺伝子Xについて解析した。培養細胞に50%血清負荷を行うと個々の細胞の時計遺伝子発現の位相が同期することが知られている。このin vitroの系を用いて遺伝子Xを欠損した培養線維芽細胞に50%血清負荷を行うと、野生型の細胞に比較して時計遺伝子発現の日内変動が障害されていることが示された。さらに遺伝子Xのノックアウトマウスでは、光刺激による体内時計のリセット機能に障害があることも示された。遺伝子Xは血管新生や心不全に関与することが知られており、これらの病態での様々な遺伝子発現や生理機能のサーカディアンリズムの障害に遺伝子Xが関与していることを示している。現在この遺伝子Xの血管新生や心不全における発現パターン、時計遺伝子との直接のinteractionについて解析中である。今後遺伝子Xの発現動態を指標とした、循環器疾患の予防法、時間治療の開発に結びつけられると考えられる。
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Research Products
(4 results)