Research Abstract |
本年度は,副甲状腺ホルモン(PTH)分子のHPLCのシステム構築を進めるとともに,逆転症例の血清と組織検体の収集を進めた.また,新規PTHの存在を示唆するwhole PTH/intact PTHの比率を透析患者の血清で検討したところ,PTH濃度が高いほど,副甲状腺過形成が進行しているほど,比率が増加しており,これはcinacalcet治療により改善することが証明出来た. 咋年度,動物モデルと培養細胞を用いて,インドキシル硫酸骨芽細胞に対する抑制作用を解明したが,さらに透析患者で検討したところ,血清インドキシル硫酸濃度は,PTH濃度と骨形成マーカーであるアルカリフォスファターゼと相関していたが,骨吸収マーカーであるTRAP5bとの関係はみられなかった. 一方,腎不全や糖尿病患者の生体内で増加することが知られている糖化最終産物(AGE)の骨代謝に対する影響を調べるために,糖化最終産物受容体(RAGE)欠損マウスを用いて実験を行った.非糖尿病状態では,RAGE欠損マウスの骨密度は野生型マウスに比べて増加しており,骨形態計測では,石灰化面積の増大,骨吸収能低下が見られた.予想に反して,糖尿病状態では,RAGE欠損マウスと野生マウスの骨の間に有意な差が見られなかった.現在,この原因を解明するための追加実験を行っており,論分投稿を予定している. この他,糖尿病性骨病変に対するスタチンの予防効果を検討し,良好な結果が得た.
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