2008 Fiscal Year Annual Research Report
ナノDDSによるメラノーマ特異的分子標的RNAインターフェレンス療法
Project/Area Number |
19591323
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
岸本 三郎 Kyoto Prefectural University of Medicine, 医学研究科, 教授 (90079913)
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Keywords | RNAi / DDS / 癌 / 免疫学 |
Research Abstract |
本年度は昨年度にひきつづき、MITF特異的siRNA(siMITF)とIL-12遺伝子の併用効果を、B16移植担癌マウスの系にて検討した。まずIL-12とMITFsiRNAの併用については、IL-12遺伝子投与とsiMITFの腫瘍内投与の条件を、種々に変えて行ったところ、それぞれの単独群にて、無治療群に比し、B16の増殖は有意に遅延し、生存曲線では有意差は見られなかったものの若干の延長の傾向が認められた。これに対して、IL-12投与とsiMITF投与の併用を行うと、それぞれの単独投与とほぼ同等の腫瘍の増殖抑制効果が認められた。いずれの群でも、腫瘍は最終的には増殖を示した。ナノDDSの応用については、in vitroの段階での検討の結果、B16への導入は必ずしも効率は高くなく、現時点ではさらなる改変が必要と考えられた。一方で、MITFのRNAi療法に比して、より新しいMITF標的療法として、MITFのトランスアクティベーション、およびDNA結合をそれぞれ抑制するペプチドを数種デザインし、それらを導入する実験も用いた。B16の増殖能、アポトーシス、MITFの下流の制御分子であるtyrosinaseのmRNA発現と活性を指標として測定したところ、いずれのペプチドもMITFの転写活性、およびB16のviabilityを著明に低下させるには至らず、配列をソフィスティケートする必要性があることが分かった。以上の結果、siMITFとIL-12免疫療法単独では有効性が示され、それぞれをオプティマイズすることにより相加的な効果は期待されるが、相乗性については、さらなる検討を加えることが必要とされること、またナノDDSについては、siRNAの配列と標的細胞の性質に応じた分子デザインと投与法の改変の必要性が示唆された。
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