2009 Fiscal Year Annual Research Report
悪性神経膠腫に対する複合的シグナル阻害剤による新規治療法の開発
Project/Area Number |
19591701
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
永根 基雄 Kyorin University, 医学部, 准教授 (60327468)
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Keywords | glioma / 分子標的治療 / シグナル伝達 / アポトーシス / Akt / EGFR / モノクローナル抗体 |
Research Abstract |
悪性神経膠腫(glioma)では、腫瘍細胞に特異的に生じている遺伝子異常が腫瘍の悪性化、治療抵抗性に関わる重要な因子であり、特に細胞増殖亢進・細胞死抑制などに直接的・間接的に関与する遺伝子異常は、これまでの放射線治療や抗癌剤による化学療法に対する低反応性に高度に寄与する可能性が考えられている。これらの因子を新規標的として阻害する分子標的治療は、悪性神経膠腫のような治療抵抗性悪性腫瘍において、予後改善を目指す重要な研究課題である。悪性神経膠腫では、細胞増殖シグナルを発するEGFR遺伝子が高頻度で異常であり、EGFRを阻害する分子標的治療が合理的なアプローチとして期待されている。今回、EGFRに対するヒト型モノクローナル抗体であるnimotuzumabを使用し、EGFRを発現しているヒトglioma細胞を治療した。Nimotuzumabにより、glioma細胞内のEGFRのチロシンリン酸化は阻害されたが、EGFR阻害作用を持つ低分子阻害剤のAG1478と比較するとややEGFRリン酸化阻害作用は低affinityでの効果であった。悪性神経膠腫では、野生型EGFRの遺伝子増幅と高発現に加え、高頻度で細胞外ドメインの欠失を伴うEGFRvIII変異蛋白の発現が認められている。野生型EGFRとvIIIをそれぞれ高発現している細胞株を用いて、nimotuzumab治療と標準治療薬であるtemozolomide (TMZ)を併用し、ヌードマウス造腫瘍モデルを使用して単剤および併用治療の効果を検討した。その結果、EGFRを高発現している細胞株においてより高度のnimotuzumab+TMZ併用効果が認められ、腫瘍特異的遺伝子異常の標的治療と抗癌剤の併用療法によるglioma治療増感効果が示唆された。更に、gliomaで高頻度に異常が指摘されているPDGFRに対する阻害剤(STI571)を用いた併用阻害治療も併せて検討中である。
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Research Products
(22 results)