2008 Fiscal Year Annual Research Report
口腔扁平上皮癌の浸潤転移におけるウイントシグナル経路の解析と分子標的治療への応用
Project/Area Number |
19592293
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岩井 聡一 Osaka University, 大学院・歯学研究科, 助教 (10362675)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
由良 義明 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (00136277)
青田 桂子 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (70437391)
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Keywords | シグナル伝達 / 遊走 / 口腔扁平上皮癌 |
Research Abstract |
〔背景と目的〕beta-cateninの核や細胞質の集積が大腸癌を含めた多くの癌で報告され、口腔扁平上皮癌においても高頻度に認められることが報告されている。beta-cateninの細胞内集積が口腔扁平上皮癌に及ぼす影響について検討を行った。〔材料と方法〕beta-cateninが細胞質に集積しないCa9-22細胞に変異型beta-catenin遺伝子をリポフェクション法にて導入した。浸潤能はinvasion assayにて、遊走能はtranswell chamber assay, wound healing assayにて検討した。Wntの発現については、RT-PCRと細胞蛍光免疫染色法にて検出した。〔結果〕Ca9-22細胞に変異型beta-catenin遺伝子を導入し樹立したtransfectantsは親株に比して、紡錘形を呈し、細胞接着が疎なコロニーを形成した。浸潤能が亢進し、遊走能は顕著に亢進した。細胞蛍光免疫染色とpull down assayにおいて、アクチンフィラメントの再構成とcdc42、Racの活性上昇がみられた。transfectantsにおけるTcf/Lefの転写活性は増強し、このtransfectantsにさらにdominant negative Tcf4を導入すると、Tcf/Lefの転写活性は低下し、遊走能も減弱した。さらに、transfectantsではWnt5aの発現の上昇が認められた。Ca9-22細胞の培養液にWnt5aを加えると、Ca9-22の遊走能は亢進し、Wntシグナルの阻害剤であるs-FRP2によりその亢進は抑制された。またtransfectansにs-FRP2を作用させた場合にも、遊走能の亢進は抑制された。〔結論〕beta-cateninの細胞内集積はRhoファミリーの活性化と細胞骨格の再構成により口腔扁平上皮癌細胞の遊走能を亢進させること、この現象にWnt/beta-catenin経路の活性化が関与することが明確となった。さらにこの過程にWnt5aが関与することが示唆された。
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Research Products
(6 results)