2007 Fiscal Year Annual Research Report
オピオイド系鎮痛薬の生体作用における神経型カルシゥムチャネルの役割
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19603002
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
栗原 崇 Tokyo Medical and Dental University, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (60282745)
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Keywords | オピオイド / モルヒネ / 鎮痛 / 鎮痛耐性 / 電位依存性カルシウムチャネル / cDNAマイクロアレイ |
Research Abstract |
R型Caチャネル欠損マウス(本マウスではモルヒネの鎮痛効果の増強、および鎮痛耐性獲得の減弱が認められる)中脳・延髄部を用いたcDNAマイクロアレイ解析より、モルヒネの鎮痛効果や鎮痛耐性獲得の調節に関連することが示唆される十数種類の遺伝子群が選別された。本年度はこれらのうち鎮痛耐性を形成する野生型マウスではmRNA発現量増加を示すが、欠損マウスではその増加が抑制されていたある遺伝子Aに着目し、モルヒネの鎮痛効果および鎮痛耐性形成との関連について検討した。この遺伝子産物の機能的阻害薬の腹腔内単回投与はモルヒネ急性鎮痛効果を有意に抑制したが、脳室内単回投与では急性鎮痛効果を変化させなかった。また腹腔内連日投与によって、鎮痛耐性形成を濃度依存的に変化させた(0.1-1mg/kgでは耐性形成を促進。10-100mg/kgでは耐性形成を抑制)。遺伝子Aはある転写調節因子の分解に関与することから、上記阻害薬による鎮痛耐性形成抑制にはこの転写調節因子の発現量上昇の関与が考えられる。そこでモルヒネ投与前にこの転写調節因子の発現量を上昇させる処置をマウスに5日間与えると、モルヒネ鎮痛耐性形成を有意に抑制した。また対照群中脳・延髄部におけるこの転写調節因子のタンパク質発現量は無処置群に比べ有意に減少するが、モルヒネ投与前に遺伝子A阻害薬を5日間連日投与、あるいは上記転写調節因子の発現量上昇処置を行った群では、当該転写調節因子タンパクの発現量低下が抑制された。以上の結果から、モルヒネ鎮痛耐性獲得に中脳・延髄部における新たな情報伝達経路の関与が示唆された(論文投稿中のため具体的な遺伝子名等の名称をふせています)。
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