2007 Fiscal Year Annual Research Report
金融パニックシミュレーション実験-妥当なミクロ金融政策の構築-
Project/Area Number |
19653027
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
鵜飼 康東 Kansai University, 総合情報学部, 教授 (70098101)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 洋一 関西大学, 付置研究所, 研究員 (40425062)
長岡 壽男 関西大学, 付置研究所, 研究員 (90411503)
竹村 敏彦 関西大学, 付置研究所, 研究員 (00411504)
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Keywords | 金融パニック / 政策シミュレーション / マルチエージェントシミュレーション / 金融政策 / グリッドコンピユーティング |
Research Abstract |
本研究では、初年度に、経済行動のモデルを構築するために、預金者個票データを収集することが必要であると判断して、ウェブアンケート調査「金融パニックアンケート2007」を設計した。本調査は2007年9月に実施され、1500人のミクロデータを得た。このデータは性別、年齢、教育水準、収入、預金高、社会への信頼度など70項目に渡る属性を含んでいる。このデータを用いて、研究代表者の鵜飼、研究分担者の長岡は、関西大学矢田勝俊教授および大阪大学鷲尾隆教授と協力して論文「Modeling Bank Runs by Data Mining to Manage Financial Crisis」を執筆した。本論文では、金融危機に対する口座所有者の反応を検討するために、属性選択ツールを適用することで、銀行取付騒ぎに敏感である消費者属性をデータから特定化した。この分析を通じて、63%の精度の個人の取付行動を予期するモデルを得ることが出来た。さらに各支店から金融パニック時に引き出される預金総額を推定した。その結果、場所と各支店の主要な消費者グループの違いが、推計された総預金引き出し額の差に表れることが分かった。 さらに、研究代表者の鵜飼、研究分担者の竹村は、上記のアンケートによって収集されたデータをロジスティック回帰を用いて統計解析することで、金融不安に関する情報を得たときの個人の引出行動について分析を行った。その結果、収集されたデータのうち、引出行動に影響を与える要因を明らかにした。その結果については、Takemura and Ukai(2008)ICSS2008に収容されている。研究分担者の高橋洋一は、この結果の政策的解釈を行った。 なお、日本銀行と金融情報システムセンターへの面接調査を実行した。この結果、推計した政策的解釈について来年度に予定されているマルチエージェントシミュレーションに有益な助言が得られた。
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Research Products
(9 results)