2008 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内イオンを利用する分子集積に基づく新しい抗がんシステムの開発
Project/Area Number |
19659026
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
青木 伸 Tokyo University of Science, 薬学部, 教授 (00222472)
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Keywords | 分子集積 / 金属イオン / がん / アポトーシス |
Research Abstract |
アポトーシスは、固体の生命を維持するために、遺伝子によって制御された細胞死であり、不要にった細胞や有害な細胞を除去する現象である。アポトーシスの誘起機構の一つとして、ミトコンドリアら遊離したカスパーゼー9がカスパーゼー3を活性化する経路がある。しかし、がん細胞は、カスパーゼーと複合体を生成するタンパクであるXIAPが、カスパーゼー9と複合体1(次項図1)を生成して不活性化る防御機構をもっている。 そこで本研究では、XIAPを認識するペプチドと金属イオンキレート部(2,2'-bipyridyl(bpy)基)有する化合物(bpy-ペプチド)を設計、合成する。がん細胞内でbpy-ペプチドが金属イオンによって自集積してM(bpy-ペプチド)_nを生成し、M(bpy-ペプチド)_n-XIAP複合体の生成によってカスパーゼー9遊離し、アポトーシスを誘導する。 平成20年度は、bpy基を有するジペプチド体、およびモノペプチド体の合成に成功した。これらのXIAP結合能を蛍光偏光法を用いて測定したところ、ジペプチド体、モノペプチド体ともに・MオーダーのIC50値を有することが明らかになった。残念ながら、亜鉛イオンの効果は確認されなかった。これは、ペプチド体自身のXIAP結合活性が、ペプチド体と亜鉛イオンとの錯体生成能に比べ、非常に大きいためであると考えられる。さらにこれらの誘導体の存在下、がん細胞を培養したところ、濃度依存的なアポトーシス誘導が観測された。現在、これらの成果を発表するべく、論文投稿の準備中である。
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Research Products
(12 results)