2008 Fiscal Year Annual Research Report
上皮間葉移行における腫瘍浸潤能獲得の解明とヒストン修飾と腫瘍悪性化の関連性
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19659379
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
尾崎 敏文 Okayama University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (40294459)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
国定 俊之 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (80346428)
古松 毅之 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (20432651)
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Keywords | 上皮間葉移行 / ヒストン修飾 / 滑膜肉腫 |
Research Abstract |
今回の研究では、我々が確立した腫瘍組織浸潤モデルマウスを使用し、軟部腫瘍におけるヒストン修飾と腫瘍浸潤能獲得との関連性をEpithelial-Mesenchymal Transition (EMT;上皮間葉移行)の理論のもと、HDAC複合体関連因子によるE-Cadherinの発現調節の解析を目的とする。 方法 ヒストン修飾とEMT関連遺伝子の発現:滑膜肉腫細胞株2種類を用いて、In vitroにおけるHDAC阻害剤によるヒストン修飾の変化について、HDAC阻害剤添加群、未添加群で添加後0,12、24時間にHistone H3,4とAcetyl-histone H3,4のタンパク発現をWestern blot法で検討を行った。 SYO-1細胞の初代培養細胞からの新たな細胞株の樹立:SYO-L細胞の初代培養細胞より限界希釈法によって細胞を分離し、継代培養を行った(SYO-le細胞)。この細胞に対して、形態、増殖速度、染色体分析、ヌードマウス移植能、RT-PCR法、免疫染色法を用いて解板を行い、SYO-1細胞と比較検討を行った。またSYO-1細胞とSYO-le細胞との相互作用を調べるため共培養を行った。 結果 ヒストン修飾とEMT関連遺伝子の発現: Acetyl-histone H3,4タンパク発現の亢進を継時的に認めた。 SYO-1細胞の初代培養細胞からの新たな細胞株の樹立:RT-PCR法でSYT-SSX2遺伝子の発現を認めた。ヌードマウスへの移植では、腫瘤形成を認めなかった。免疫染色法では、in vitroにおいて間葉系マーカーvimentinと上皮系マーカーcytokeratinの発現が見られた。共培養系において、それぞれのinsert上では、plate上に播種した細胞株に類似した形態を呈した。 考察 HDAC阻害剤により、Acetyl-histoneタンパクの発現亢進を認めた。今後ヒストンアセチル化と転写因子のプロモーター領域への結合の変化について解析を進めていく予定である。 今回分離されたSYO-le細胞はin vitroにおいて、上皮様形態を示し、上皮系マーカーの発現を認めた。これらの細胞株は、滑膜肉腫の上皮様分化への解明に有用であると考える.今後単独培養系と、共培養系のSYO-1細胞を解析することで、細胞間の相互作用を調べる予定である。
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Research Products
(2 results)