2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19720035
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Research Institution | The National Museum of Western Art, Tokyo |
Principal Investigator |
平山 東子 The National Museum of Western Art, Tokyo, 学芸課, リサーチフェロー (50421839)
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Keywords | 古代ギリシア / 古典考古学 / 陶器 / 東方化様式 / 地中海東部 / 神話画 |
Research Abstract |
本研究は、紀元前6世紀前半の初期アッティカ黒像式陶器の展開を様式、図像、技法、器形、出土分布などから多角的に跡づけ、その形成過程と古代地中海世界における社会的機能を明らかにすることを目的としている。そのケーススタディーとして本年度は昨年に続き、初期アッティカ黒像式陶器を代表的する陶画家の一人である逸名の画家「KXの画家(KX Painter)」を採り上げた。 今年度はアテネ、エレウシス、アルゴス、スパルタにおいて、遺跡と博物館を中心とした資料、データ収集をおこなった。とくにアテネのケラメイコス遺跡および、同博物館での調査では「KXの画家」の基準作である黒像式ヒュドリア、スキュフォス、ルトロフォロスやその周辺作品を数多く実見することにより、「KXの画家」とその周辺作品の図像と技法、装飾方法、器種などの特色に関する多くの知見を得ることができた。 また、スパルタ考古学博物館では、現地の遺跡から出土したラコニア陶器やブロンズ製品などを中心に観察とデータ収集を行い、初期アッティカ黒像式陶器との器種や彩描技法における近似性を確認した。このことは、コリントスからの強い影響下にあった前6世紀前半のアッティカ初期黒像式陶器の形成過程において、ラコニア陶器との間にもなんらかの共通要因があったことを示唆するものと考えられたが、これに関しては、さらなるデータ収集と分析、考察が要される。来年度は引き続き現地調査を行い、これまでの研究成果を論文として公表する予定である。
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Research Products
(1 results)