2010 Fiscal Year Annual Research Report
中世王朝物語の引用和歌典拠総覧作成とテキスト処理による物語内引歌表現検索の研究
Project/Area Number |
19720053
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Research Institution | Baiko Gakuin University |
Principal Investigator |
安道 百合子 梅光学院大学, 文学部, 准教授 (00441577)
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Keywords | 国文学 / 中世王朝物語 / 創作基盤 / コンピュータ国文学 |
Research Abstract |
本研究は、中世王朝物語諸作品の創作基盤を明らかにすることに目的がある。そのため、従来の基礎研究の成果に加えて、より、精度の高い、引用和歌典拠総覧を作り上げることと、引用和歌をさぐる有効な方法を提出することとに、具体的目標を定めて、研究を進めてきた。 作中和歌については連続する2音節の一致度をはかる方法で、類歌を抽出し、本歌のみならず、参考歌をひろく掲出できる。また、物語本文を網羅的に短文で取り出し、和歌や『源氏物語』と比較し、3~5音節の一致度をはかる方法で、引歌表現・物語引用・類型表現などを見定める資料とすることができた。 最終年度にあたる平成22年度は、二年目以降続けているデータの検討・認定作業を続けるとともに、成果公開の方法をさぐり、論文や学会発表というかたちで、一部を公開した。研究に資するという意味では、基礎となるデータをすべて公開するのも一方法であるが、大部分が著作権のある書物のデータであり、それをそのまま公開することは不適当と判断し、具体的な作品に添って、その意義を見定めつつ、抽出の結果を公開していくのが適当であると判断した。とはいえ、一研究者の思い込みを排除するために、あえて文字列解析の手法を用いたわけであるから、公開するデータは、研究材料の提供を第一義とし、検討されるべき対象となるものを、できるだけ広くゆるやかに公開するよう努めた。一方、研究方法については、プログラミングの過程もすべて公開した。 三年目にあたる21年度に学会発表にて見通しを述べた『あきぎり』の引歌についての検討は、22年度には引歌一覧を論文にまとめ、本研究の方法によって至る成果の有効性と限界とについて述べた。研究成果は今後、順次、公開していく予定である。
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Research Products
(2 results)