2009 Fiscal Year Annual Research Report
教師用検定教科書における岡山秀吉の手工科教育論の普及と変質
Project/Area Number |
19730544
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
平舘 善明 Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine, 畜産学部, 講師 (10439292)
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Keywords | 手工科 / 岡山秀吉 / 検定教科書 / 技術教育 |
Research Abstract |
初等教育におけるキャリア教育への示唆を得るために、本研究では、戦前日本において普通教育としての技術教育の教科指導として位置づいていた手工科を対象としている。手工科に関する先行研究は、導入期に関するものが比較的多く存在するものの、その後の研究は、導入期が否定的な内容として捉えられているが故に、手薄になっている。こうした研究状況を鑑み、これまで、導入期以後の手工科の発展を担った第一人者と目されていながら、ほとんど研究がなされていなかった岡山秀吉の手工科教育論の特質と意義を解明してきた。そこで、本研究では、手工科教師用の検定教科書を、復原による教材解釈の手法を用いて、同時代のアメリカン・スロイド等との内容比較を含めて分析することによって、岡山秀吉の手工科教育論の小学校現場への普及およびその変質を解明することを試みている。 今年度は、昨年度に引き続き、第1に、日本の教科書国定期における手工科の位置づけの特異性について検討した。第2に、昨年度に引き続き、ボストンスロイド養成学校にて実践されていたアメリカン・スロイドの教材の復原作業を行った。 手工科は児童用教科書の使用が認められず、かつ教師用として文部省著作教科書が出版され、広く普及していた。教科の枠組み上、こうした分類にあたるのは手工科と裁縫科のみであり、その類別は教科の必修化や、実習教科か否かといった教科の性格からは理由づけられていない。こうした特異性をもった手工科の教師用検定教科書と、米国の手工教育の教材とを復原を通して比較検討した。これらの研究成果については、今後速やかに、学会論文に投稿する予定である。
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