2008 Fiscal Year Annual Research Report
ビスマス層状構造強誘電体を用いた非鉛セラミックレゾネータの実用化に関する開発研究
Project/Area Number |
19760470
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
永田 肇 Tokyo University of Science, 理工学部, 助教 (70339117)
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Keywords | セラミックレゾネータ / 非鉛 / ビスマス層状構造強誘電体 / 発振安定性 / 機械的品質係数 / 共振周波数温度係数 / 相転移温度 / 混合ビスマス層状構造強誘電体 |
Research Abstract |
本研究は、セラミックレゾネータ応用に求められる性能を十分に満足する材料を、環境にやさしい非鉛系ビスマス層状構造強誘電体(BLSF)セラミックスを用いて開発しようとするものである。レゾネータの発振安定性や高い発振周波数精度、さらには温度安定性や高周波化を実現するために、A. 共振周波数の低温度係数化(低TCF化)、B. さらなる高機械品質係数化(高Qm化)とそれに伴う問題点の解決が挙げられる。これらの目標に対し、昨年は、様々なBLSFセラミックスを作製し、BLSF特有の結晶構造や欠陥構造に起因する特性変化を調査してきた。TCFの低下には粒子配向制御が有効であることが明らかになり、このとき、結晶方位による弾性定数sに変化が見られ、sが小さい振動モードにおいて小さなTCFを示すことがわかった。一方、同一材料ではそのTCFとsに相関が見られたが、様々な材料の同一振動モードのsとTCFを比較すると、それらの相関は見られなかった。この原因には相転移温度や欠陥濃度、線膨張係数などのパラメータが複雑に関連していることが示唆された。そこで、相転移温度を利用してTCFを制御する試みとして、混合ビスマス層状構造強誘電体に着目した。ビスマス層状構造中の酸素八面体数mが、2および3のとき二つの相転移温度を有することが知られており、低温側の相転移温度でTCFの改善が見られた。さらに、上述した粒子配向を行うことにより、TCFをマイナスからプラスまで幅広く制御できることが明らかになった。すなわち、m=2, 3の混合層状構造強誘電体を用いて粒子配向技術を適用することにより、TCFを0 ppm/℃にできることが明らかになった。セラミックレゾネータの実用化に際し、低TCF化はたいへん重要で解決が困難な命題であるが、本研究を通じて新たなTCFの制御方法を示すことが出来た。
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Research Products
(15 results)