2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19760514
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Research Institution | Tohoku Institute of Technology |
Principal Investigator |
加藤 善大 東北工業大学, 工学部, 准教授 (40398491)
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Keywords | 電極活物質 / 海水電解 / 酸素発生 / 再生可能エネルギー / CO_2リサイクル |
Research Abstract |
申請者が提案している『グローバル二酸化炭素リサイクル』の実現には、水素製造のさいの塩酸酸性海水の電気分解において塩素を出さず酸素のみを生成する性質、さらには耐久性を有する酸素発生陽極が必要不可欠である。このシステムの実現の鍵は、中間層として用いる希少・高価な酸化イリジウム(IrO_2)の低減である。これまでの研究から、チタン基板上にSn_<1-x>Ir_xO_2複酸化物を形成した中間層を有するMn_<1-x'-y'>Mo_<x'>Sn_<y'>O_<2+x'>複酸化物電極の活性および耐久性は、IrO_2複酸化物とする中間層の陽極より優れていることが明らかとなった。 本研究では、Sn_<1-x>Ir_xO_2中間層をこれまでの約5倍の厚さで形成した電極を作製し、その上にMn_<1-x'-y'>Mo_<x'>Sn_<y'>O_<2+x'>複酸化物電極を形成したさいの酸素発生効率および耐久性を調べた。その結果、電極の耐久性のさらなる伸長には結びつかなかった。本実験により、陽極のアノード分極曲線から、電解時間とともにチタン基板の酸化が生じることが明らかとなった。酸素発生効率の低下した電極の断面観察から、チタン基板の局部酸化が見られ、それにより電極活物質の剥離が生じたものと結論づけられる。このことから、本実験は耐久性の伸長には結びつかなかったものの、電極劣化メカニズムの解明に繋がったと言う事ができる。 中間層形成のためH_2IrCl_6・H_2O、SnCl_4・5H_2Oを用い、[Ir^<4+>]+[Sn^<4+>]=0.1M,[Ir^<4+>]=0.04Mの条件で中間層を形成したのち、Mn_<1-x-y>Mo_xSn_yO_<2+y>複酸化物をアノード電着法により形成した電極は、pH1の0.5M NaCl中電流密度1000Am^<-2>において、99%以上の酸素発生効率をこれまでで最も長期間の4300時間維持することが明らかとなった。
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