2019 Fiscal Year Annual Research Report
敦煌書儀・六朝尺牘文献の古代日本への受容実態の展開
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19H01230
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
西 一夫 信州大学, 学術研究院教育学系, 教授 (20422701)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 比出代 信州大学, 学術研究院教育学系, 教授 (10631187)
大橋 賢一 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (20451453)
奥田 俊博 九州女子大学, 人間科学部, 教授 (30343685)
白井 伊津子 淑徳大学, 総合福祉学部, 教授 (40323224)
奥村 和美 奈良女子大学, 人文科学系, 教授 (80329903)
桑原 祐子 奈良学園大学, 人間教育学部, 教授 (90423243)
佐野 宏 京都大学, 人間・環境学研究科, 准教授 (50352224)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 敦煌文書 / 書儀・尺牘 / 漢文書簡 / 表現受容 / 国文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本計画の主たる事業となる原稿改訂作業は素稿として作成した本文注釈(11-20)を輪読形式で原稿の改訂を予定通り進めることができた。またイギリスの大図書館での文献調査で得た成果をを注釈(特に語釈)に盛り込むことができたことは大きな成果である。その際、日中文化交流史研究会による注釈本文(翰林書房,1994)を適宜参照し、語釈の修正や用例の塚を行う事ができた。 表現受容と展開の解明については、すでに作成済みの各種語彙集成(「敦煌書儀語彙集成1」「同2」「奈良朝書簡語彙集成」「平安初期書簡語彙集成―空海・最澄・圓仁篇」)と桑原祐子の注釈成果との比較検討を進めて、表現の類似関係の有無を検討した。これによって書儀・尺牘文献語彙と古代日本での文書語彙との関係を捉えることへの道筋を着けることができた。なお書儀を対象とした研究成果(呉『唐礼遺―中古書儀研究』2002, 王『吐魯番出土文書詞語考釈』2005, 張『敦煌書儀語言研究』2007)を随時参照して作業を進めることで類似表現との検討まで進められた。わらに語彙の口語性については松尾良樹「口語語彙索引」(基盤研究(C)「敦煌文書・トルファン文書・正倉院文書の比較写本学研究」2000-2002)の掲出語彙をも参照して語性についての検討を深めた。 研究成果については各領域での学会(萬葉学会・古事記学会・仏教大学国文学会・東山の会など)での研究発表を代表者と分担者とが行った。また、奈良女子大学との共催で8月に学術研究会を開催し年度末に成果を報告書としてまとめることができた。 学術調査としては、継続的に行っているイギリス大英図書館での敦煌文書調査では、新たな文書調査を行い、新たな文例の収集を始めとして、類似の文献調査を合わせて行うことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画通りに注釈原稿の修正を進めることができたのみならず、新たな文献調査によって、語釈の精度を上げることができたのは大きな成果である。これは研究組織を拡大し、国文学・国語学・歴史学・中国文学・書動史などの多角的な観点から継続的に課題に取り組んだ成果であり、これによって従来適切な用例が指摘できなかった表現にも複数の用例を示し、語の性格を明らかにすることができた。 継続的な索引作成が表現研究に役立っている点もある。デジタル技術での索引が作成されていない文献のなかから、より適切な表現を抽出するための索引作成は、本研究課題を牽引する重要な要素となっている。また、本年度から中国文学研究者を加えた点も、研究課題の推進に役立っていると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
注釈原稿の改訂のみならず、関係の文献調査をすべて完了できていない書道博物館での調査を重点的に行う予定である。海外での調査が厳しい状況であるため、注釈原稿の作業を前倒しして進める予定である。なお、国内の移動にも制限がある状況においては、輪読会の開催はリモートなどで定期開催を考えている。その際の施設整備などに予算を振り替えるなど、2019年度の推進を後退させないように計画する。リモートでの輪読会の開催は月例として進める予定で調整している。 奈良文化財研究所のデータベースを活用して出土文字資料での表現研究にも時間をかけて調査を行う。これは正倉院文書・平安前期漢文書簡についても同様であり、語史的な側面での注釈研究を進めることを予定している。 成果の発信は、関係学会などが軒並み開催延期・中止などとなっており、研究発表のみならず、原稿化しての成果発信につとめる予定である。
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Research Products
(17 results)