2019 Fiscal Year Annual Research Report
A Comprehensive Study on the Melodramatic Imagination in Russian and Former Soviet Culture
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19H01243
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
安達 大輔 北海道大学, スラブ・ユーラシア研究センター, 准教授 (70751121)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
番場 俊 新潟大学, 人文社会科学系, 教授 (90303099)
小川 佐和子 北海道大学, 文学研究院, 准教授 (90705435)
鳥山 祐介 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (40466694)
乗松 亨平 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (40588711)
平松 潤奈 金沢大学, 外国語教育系, 准教授 (60600814)
越野 剛 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 助教 (90513242)
伊藤 愉 北海道大学, スラブ・ユーラシア研究センター, 非常勤研究員 (00816556)
神竹 喜重子 東京藝術大学, 大学院音楽研究科, 研究員 (70786087)
斎藤 慶子 北海道大学, スラブ・ユーラシア研究センター, 学術研究員 (20805832)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | メロドラマ / ロシア・ソ連 / 文化史 / アイロニー / 共感 / ショック / 感情・情動・身体 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は研究体制の基礎づくりに充て、科研の内外でメロドラマ的想像力という問題の共有に努めながら、基礎的な資料の収集と分析を行った。 まず研究構成員間での連絡体制を整備した。メールを主な連絡手段としつつ、Dropboxで資料(文献情報・研究成果・研究計画・事務書類等)を共有している。研究の基礎となる文献は2019年8月18日に北海道大学スラブ・ユーラシア研究センターで開催された研究打ち合わせ会で共有した。より専門的な文献情報はDropboxに随時アップロードしている。打ち合わせ会では長期・短期の具体的な研究計画、研究の内容・方法・体制を確認した。その結果長期的には日本語・英語による2冊の論集刊行、2回の国際会議開催を目指すことで合意ができた。2021年にICCEESで4パネル、BASEESで1パネルを組織し、St Andrews大学でセミナーを開催する準備を進めたほか、スラブ・ユーラシア研究センターへの招へいや、個々の学会発表を通じて海外研究者との共同研究に取り組んだ。また2021年にスラブ・ユーラシア研究センターで公開講座「メロドラマするロシア:アジアとの比較から考える大衆文化の想像力」を開催する企画を立て、講師としてインド・中国の専門家を招いて他地域の研究者との協力体制を整えた。 研究初年度は準備期間であったが、センチメンタリズムやロマン主義文学、ソ連バレエ、ベルリン・オペレッタ等との関係からメロドラマ的想像力の研究が進み、ベラルーシとウクライナにおける革命演劇との比較が行われるなど、当初の計画を超えて国際的に意義のある成果が発表された。ジャンル班(文学)はメディア環境(言語・出版・鉄道・検閲等)を主な分析対象とし、ジャンル班(演劇、バレエ、オペラ・オペレッタ、映画、商業文化)、テーマ班(「革命とメロドラマ」「ソ連期から現代のメロドラマ」)は個々のテーマに沿った研究を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
メールとDropboxにより研究構成員間の連絡体制を構築し、インターネット上で資料(文献情報・研究成果・研究計画・事務書類等)を共有する体制を整えることができた。2019年8月の研究打ち合わせ会では長期・短期の具体的な研究計画、研究の内容・方法・体制を確認することができた。その際に研究の基礎となる文献も共有している。研究は主に個人単位で進め、成果を個別に発表したが、新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、年度末(2020年3月17日)に北海道大学スラブ・ユーラシア研究センターで予定していた研究報告及び打ち合わせ会が中止になった。これによって本年度の研究内容・方法・体制を総括するとともに検証・見直しを行い、次年度以降の研究計画をまとめる機会を失ってしまった。基礎的な資料の収集と分析は十分になされたが、研究構成員間で研究成果の検討を行って共通理解を深める作業が次年度の課題として残った。 国内外の研究者との連携という点では当初の計画以上の進展があった。ICCEES、BASEESのパネルとSt Andrews大学でのセミナーの準備、スラブ・ユーラシア研究センターに滞在した客員教授や招へい研究者との交流、アメリカ・イギリス・ウクライナ・ジョージア・ロシア等での成果発表によって海外の研究者との連携を深めることができた。またスラブ・ユーラシア研究センター公開講座「メロドラマするロシア:アジアとの比較から考える大衆文化の想像力」の準備ではインド・中国の研究者を講師として招へいし、今後の共同研究へ道をつけることができた。一方でやはり新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、上記の国際会議やセミナー、公開講座はすべて2021年度に延期されている。 本研究課題の進捗状況は当初予期していないことが原因でやや遅れており、特に研究報告会の開催は急務である。また次年度の研究の進捗の見通しが立ちにくい状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、2020年3月17日に予定していた研究報告会が中止となったほか、2020年度に予定していた国際会議や公開講座が軒並み一年ほど延期となった。国内外の会議の予定が立てにくい現状も踏まえ、国際的な研究成果の本格的な発信は主に2021年度に行うこととして、研究二年目はその準備に充てる。基本的な方針は次の通りである。①初年度は進展にややばらつきが見られたメンバー個々の研究をよりムラのない形で進める。そのための方策として、各々の研究の一層の充実を図るとともに、科研全体や各班単位で相互の研究内容の批判的検討を行う。②インターネットを活用しながら国内外の研究者と情報を交換して、研究ネットワークを拡大・強化する。 具体的には以下の三点から計画を実施する。 1. 研究内容の共有(研究報告会):個々の研究内容を互いに検討する機会を少なくとも2回設ける。まず2020年夏までにそれまでの研究内容・方法・体制を総括するとともに検証・見直しを行い、今後の研究計画をまとめる。開催にあたってはインターネットも積極的に利用する。 2. 国内外のネットワーク構築(BASEES, ICCESSの準備):2021年度に延期された両大会では計5パネルを予定している。このネットワークを維持しつつ、参加予定のない科研メンバーや海外研究者も交えて、インターネットも利用しながら共同研究を進める。スラブ・ユーラシア研究センターに滞在予定のGolovnev・DeBlasio両客員研究員(映画・メディア論)とも協力する。また研究成果を英語論集として刊行する計画を立案する。 3. 比較文化論の導入とアウトリーチ活動計画(公開講座の準備):2021年度に延期された公開講座の準備を進めながら、アジア等との比較を視野に入れた日本語論集を刊行するプランを立てる。また関連するアウトリーチ活動を検討する。
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Remarks |
社会貢献活動 1. 安達 大輔「ゴーゴリの手:『鼻』から「手」を考える」2019年度スラブ・ユーラシア研究センター公開講座「再読・再発見:スラブ・ユーラシア地域の古典文学と現代」第3回 (2019年5月17日於北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター) 2. 鳥山 祐介「プーシキンとその小説『スペードの女王』について」、『マリインスキー・オペラ2019年日本公演プログラム』、26-27頁
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Research Products
(51 results)