2021 Fiscal Year Annual Research Report
放射光X線CTによる非破壊での日本刀の体系的研究:作刀技術解明にむけて
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19H01358
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Research Institution | Showa Women's University |
Principal Investigator |
田中 眞奈子 昭和女子大学, 生活機構研究科, 准教授 (70616375)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 一敏 東京藝術大学, 学内共同利用施設等, 教授 (20141989)
星野 真人 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 分光推進室, 主幹研究員 (30508461)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 日本刀 / 放射光 / 非破壊分析 / X線CT |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、研究代表者らがこれまで確立してきた放射光X線を用いた鉄鋼文化財の非破壊分析技術を日本刀の作刀技法の解明のために応用し、刀剣の専門家や博物館、放射光分析の専門家他と学際的な研究グループを組織し、作者や流派、時代に焦点を絞り5年間で120振を超える価値ある日本刀を体系的に分析することで最終的に日本刀の黄金時代と言われる鎌倉中期の作刀技術を解明することを目的としている。3年目である本年度は、新型コロナウイルス感染拡大による活動制限によりSPring-8での実験が出来ない期間があったが、最終的に当初の計画通り、幅広い時代に製作された日本刀の調査を行うことが出来た。1年目には地鉄や作刀技術に特徴のある日本刀の分析を、2年目には室町時代以降の日本刀のなかでも新刀、新新刀ならびに現代刀を中心に分析を行ったが、3年目の本年度は、本研究の最終目的でもある日本刀の最高峰と言われる鎌倉時代中期の日本刀のX線CT分析に取り掛かることが出来た。具体的には山城(来派)や備前(一文字派)の日本刀を分析し、時代、地域、作家ごとの日本刀の内部構造・制作技術の違いの検証を行った。分析技術の開発においては、高エネルギーX線マイクロCTによる試料の高精細計測で生成される大容量のデータを、効率よく転送・保管するためのネットワーク接続型の大容量ストレージの導入に取り組んだ。X線CT分析により得られた結果について研究分担者 研究協力者をはじめとする各分野の専門家達と議論を行い、日本刀の作刀技術の解明にむけた多角的な考察を行った。本年度の研究成果をタイ(バンコク)での国際会議BUMAⅩで発表予定であったが、新型コロナウイルス感染拡大に伴い開催方法(オンライン)と日程が大幅に変更されたため発表できなかったが、論文(3件)やオンラインでのシンポジウムや研究会で、研究に関連する成果発表を行うことが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、5年間で120振を超える日本刀を放射光X線CT分析により非破壊で体系的に分析することを目的としている。3年目の2021年度も新型コロナウイルスの感染拡大による行動制限によりSPring-8での実験が出来ない期間があり、また国際会議の開催時期や形式の変更があったが、予算繰越ならびにSPring-8への課題申請・採択により当初予定していた研究を行い、成果を得ることが出来た。研究計画に則り、本年度は徳川ミュージアム所蔵の被災刀剣を中心に、鎌倉時代中期の日本刀の名刀を分析することが出来た(SPring-8課題番号2021A1516「短刀の作刀技術の解明にむけた放射光X線CT測定」2021B1663「日本刀の作刀技術の解明にむけた放射光X線CT測定ならびに再現実験による焼け身の日本刀の内部構造の検証」、2022A1792「鎌倉期の作刀技術の解明にむけた被災刀剣の放射光X線CT測定」)。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も、「研究実施計画」に基づき以下のように研究を推進していく予定である。 (1)引き続き、日本刀の最高峰と言われる鎌倉時代中期の山城(粟田口派、来派)、備前(一文字派)、相州(正宗)などの各地域の日本刀を中心に、放射光X線CT測定を行う。また、古墳時代や平安時代に制作された日本刀も分析する方向で関係者との調整を進めている。(2)X線CT計測手法の改良にも更に取り組むとともに、研究分担者・研究協力者をはじめとする各分野の専門家達と、得られた結果の多角的な検証・考察を行う。日本刀の黄金時代と言わる鎌倉中期の各流派の作刀技術の解明に努めるとともに、作者、流派(地域)、時代毎の作刀技術の考察を行う。(3)研究成果は国内外の学会、論文誌等で引き続き積極的に公表していく。
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Research Products
(6 results)