2020 Fiscal Year Annual Research Report
「教える」専門家の養成を学問として構築する「教育学」モデルの研究
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19H01633
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Research Institution | Den-en Chofu University |
Principal Investigator |
生田 久美子 田園調布学園大学, 大学院人間学研究科, 教授 (80212744)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉國 陽一 田園調布学園大学, 子ども未来学部, 准教授 (00839219)
尾崎 博美 東洋英和女学院大学, 人間科学部, 准教授 (10528590)
畠山 大 岩手県立大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (10616303)
岩田 康之 東京学芸大学, 次世代教育研究センター, 教授 (40334461)
八木 美保子 東邦大学, 理学部, 講師 (50460035)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 教員養成 / 教育学 / 教師の専門性 / 国際比較 / 専門性 / 省察的実践家 / わざ |
Outline of Annual Research Achievements |
本科研の2020年度は、本科研の2年目にあたり、文献調査、およびオンラインでの研究会、国際セミナーの実施を行った。 国内での研究活動として、東邦大学の教員養成課程科目の中で、低年次におけるフィールドワークと講義を組み合わせた選択必修科目と「教育原理」の接続を意図したカリキュラムデザインおよびその実践と検討を行なった。田園調布学園大学では、保育者のキャリア形成と生涯継続教育のあり方について、国際比較枠組の構築をめざして、文献研究、オンライン会議参加によって情報収集を行った。岩手県立大学では、一般大学だからこそ可能となる学校教員養成のあり方についてこれまでの取り組みを基に分析を行った。 国際調査として、教育学研究と教育学教育および教員養成(教師の職能開発)に関わって、日本を含む東アジア諸地域を中心に研究動向に関わる資料収集、関係者のヒアリング等を行った。さらに訪問調査に向けた本研究課題におけるリサーチクエスチョンの具体化を試みた。 また、2020年11月10日に第4回目の研究会を実施し「教師教育と教育学研究をめぐって」と題する報告を中心に意見交換を行った。さらに、2021年3月10日に、イタリア、ボローニャ大学との国際合同シンポジウム「What is the "professional knowledge" teacheres are supposed to acquire?/MATURITA' della PROFESSIONALITA' DOCENTE e quale FORMAZIONE necessaria a raggiungerla?」をオンラインにて実施し、イタリア・日本のそれぞれの教員養成の現状と課題、教育学と教員養成の関連性について議論を行なった。 以上の研究調査結果を踏まえ、成果の一部を、学会発表5件、雑誌論文2件、図書1件において発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本科研の当初の研究計画において、中間の2年間の1年目にあたる2020年度は、文献調査及び先行研究分析で明らかになった知見や理論的背景を踏まえて、「教える」専門家の育成に関する実践の調査及び分析に関する横断的研究(異文化間比較研究・国際比較研究)を実施する計画としていた。これに対して、新型コロナウィルス感染症の影響を受けて、訪問調査そのものは実施ができなかったものの、研究メンバーが所属するそれぞれの大学において、教員養成課程及び教育実践を対象とし、各フィールドで卓越した能力を発揮する人々、及びその教授・学習場面を対象とした検討を実施することができた。また、今後のフィールド調査にむけたフレーミング等の準備を進めた。 また、科研の成果の一つとして想定している、アメリカにおける進歩主義教育の学校であるLittle Red School Houseの教育理論・実践を対象とする著書School Was Our Lifeの著者J.R.Martin氏とオンライン上でのインタビュー調査を実施し、同書の翻訳についても進捗をみることができた。さらに昨年度の2月に予定され新型コロナウィルス感染症拡大の影響を受けて延期となっていたイタリア、ボローニャ大学との国際合同セミナーをオンライン上で実施することができ、Rita Casadei氏、Stefano Piastra氏をはじめとする教育学及び教員養成にかかわる研究者と共同の議論の場を構築することができた。 上記のように、感染症対策のために制限された環境下において、最大限の研究計画を進めることができ、現在延期している調査についても、新型コロナウィルス感染症の対策状況に応じて、適宜、研究計画の実施を講じる予定である。 以上のことから、本科研の研究計画は、おおむね計画どおりに進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、今年度にひきつづき、「「教える」専門家養成実践・調査及び分析」の期間であり、文献調査及び先行研究分析で明らかになった知見や理論的背景を踏まえて、「教える」専門家の育成に関する実践の調査及び分析に関する横断的研究(異文化間比較研究・国際比較研究)を実施することを想定している。加えて、インタビュー調査で得られた対象者の「教える」専門性に基づき、「教える」専門家養成のシステム・過程構築の実情と展望についての分析を行うことを目指す。 主な研究計画は、2020年度に整理した知見をもとに、多様な「学校」で教える教師たちへの質問紙・オンラインでのインタビュー調査を行い、結果を分析する予定である。調査対象として、市川市立大須中学校夜間学級、東京シューレ、東京シューレ葛飾中学校、東京シューレ江戸川小学校、東京サドベリースクール(他、国内のサドベリースクール)、その他のマイクロスクールなどを予定する。また、イギリス、サマーヒル・スクールの訪問調査、あるいはオンラインツールを利用したサマーヒル・スクール教員へのインタビュー調査の実施を予定する。さらに、教員のキャリア形成における生涯継続教育のあり方について研究を行う。日本の幼稚園教諭に焦点をあて、どのような課題意識、ニーズ、キャリア形成プロセスを経て、生涯継続教育を行っているのか、社会人大学院生・修了者を対象に質的調査を行う。 実施した調査・分析の結果は随時研究会を通して共有・精緻化を行い、学会発表・論文等での公開を行う。予定する学会は日本教師教育学会、日本教育学会等である。研究計画の遂行のためには、新型コロナウィルス感染症への対策が急務であるが、同感染症の状況に応じて、安全かつ質の高い調査を実施することを第一に考え、調査時期、方法等を精査していくこととする。
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Research Products
(9 results)