2020 Fiscal Year Annual Research Report
From Local Historical Material Studies to Regional Historical Culture: Creation of a New Research Field for Resilient Local Communities in a Country of Natural Disasters
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19H05457
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
奥村 弘 神戸大学, 人文学研究科, 教授 (60185551)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松下 正和 神戸大学, 地域連携推進室, 特命准教授 (70379329)
阿部 浩一 福島大学, 行政政策学類, 教授 (70599498)
天野 真志 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (60583317)
日高 真吾 国立民族学博物館, 人類基礎理論研究部, 教授 (40270772)
後藤 真 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (90507138)
佐藤 大介 東北大学, 災害科学国際研究所, 准教授 (50374872)
白井 哲哉 筑波大学, 図書館情報メディア系, 教授 (70568211)
今津 勝紀 岡山大学, 社会文化科学研究科, 教授 (20269971)
矢田 俊文 新潟大学, 人文社会科学系, フェロー (40200521)
胡 光 愛媛大学, 法文学部, 教授 (50612644)
三村 昌司 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), 人文社会科学群, 准教授 (40525929)
市澤 哲 神戸大学, 人文学研究科, 教授 (30251862)
佐々木 和子 神戸大学, 人文学研究科, 人文学研究科研究員 (20437437)
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Project Period (FY) |
2019-04-23 – 2024-03-31
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Keywords | 地域歴史資料学 / 地域歴史文化 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度の当初方針は「国際発信と各領域での研究の展開」であったが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、報告を予定してた第23回国際歴史学会議が延期となった。しかし、各研究領域での研究を進め、オンラインでの研究会を定期的に開催することで成果報告・共有に努めた。A班では感染症対策を前提とした地域住民との地域歴史資料継承の実践的研究を進め、B班ではアメリカ歴史学会”Statement on Standards of Professional Conduct”(専門職行動基準書)を和訳し、地域において実践的研究を行う際の国際基準を本科研ウェブサイトで公開した。C班では古代から近現代に至る地域史研究の成果を蓄積・発展させることができた。また、欧州委員会による報告書”Innovation in Cultural Heritage Research“(文化遺産研究の革新)の和訳を行った。 11月には、地域歴史文化フォーラム福島「東日本大震災・原発事故の記録・記憶を伝える」を開催し、東日本大震災・原発事故を地域の歴史の中に位置づけ、継承することに関する新たな研究成果が報告された。この成果は報告書を刊行して広く発信した。地域歴史資料データインフラkhirinCについては、多様な資料情報をデータ化し運用するため、国立歴史民俗博物館所蔵の文化財情報カードのデータを投入したほか、自治体史編纂にかかる資料データベース化も進め、実用に向けての整備・研究を進めた。 2019年東日本台風被災歴史資料の処置の実践的研究も継続して行い、2021年2月13日の福島県沖地震により被災した地域歴史資料継承に関しても実践的研究を開始した。2月20・21日には人間文化研究機構が主催する第7回全国史料ネット研究交流集会(オンライン開催)を共催し、東日本大震災以降の地域歴史資料学の研究成果を広く発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年に予定していた第23回国際歴史学会議での報告が延期となったが、他のオンライン開催での国際学会で報告するなど、研究成果を国際発信することができた。また、「アメリカ歴史学会専門職行動基準書」「文化遺産研究の革新」の和訳を行い、地域歴史文化の実践的研究のための国際的基準や、文化遺産研究の国際比較研究を進めることができた。調査研究活動については新型コロナウイルス感染拡大の影響により中止したものもあったが、研究成果を発表・議論するために各研究領域で定期的に研究会を開催することができ、当初方針に基づいておおむね順調に研究を進展させることができた。 また、地域歴史資料データインフラkhirinCは、地域住民が地域資料に容易にアクセスできるよう整備を進め、かつ国際的に流通する形式で地域資料のデジタル化を行った。地域歴史資料継承に資するデータインフラの基盤を整備し、研究成果を発信することができた。 研究計画書段階でも予定していた地域歴史文化フォーラム福島は新型コロナ禍のためオンライン開催となり、フィールドワークを実施することはできなかったが、フォーラムでは原発事故も含む災害の歴史を地域の歴史の中に位置づける方向性での地域歴史文化創成の実践的研究に関して議論を深めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、新型コロナウイルス感染症の拡大によって、対面での研究会等開催や研究成果の国際発信、国内外での資料調査等を十分に実施することが困難であった。しかしながら研究会等のオンライン開催が広がってきており、今後もオンライン開催形式での研究会等で成果を発信していく必要がある。各研究領域では2020年度までに定期的に研究会を開催してきたことから、豊富な研究成果が発表されている。今後も定期的に成果発表のための研究会を開催し、新たな知見を蓄積する必要がある。地域住民とともに行う地域歴史資料継承の実践的研究においては、資料保存の技術面での研究が必要となるが、2020年度はオンラインで行うワークショップの新たな手法も開発したため、今後もさらに手法を研究して活用していく。 地域歴史資料データインフラの構築は、実際の運用に向けて資料データを充実化させるとともに、地域住民がより利用しやすいようにデータベースを改良するための研究を進める。 地域歴史文化創成研究の国際的展開については、和訳が暫定的であり、内容に関してもより理解を深める必要があることから、引き続き欧州委員会報告書”Innovation in Cultural Heritage Research“(文化遺産研究の革新)の和訳および文化遺産の保存・活用に関する国際比較研究を進める。 今後の地域歴史文化フォーラムは、2020年度内に実施できなかった福島県内でのフィールドワークを実施することに加え、中山間地(愛媛県)を対象として研究成果を共有し、国内での地域歴史文化創成の多様な事例を検討していく必要がある。
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Research Products
(88 results)