• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2019 Fiscal Year Annual Research Report

ブルーバード映画の再考:フェミニズムと比較映画史の観点から

Research Project

Project/Area Number 19J22457
Research InstitutionWaseda University

Principal Investigator

入倉 友紀  早稲田大学, 文学学術院, 特別研究員(DC1)

Project Period (FY) 2019-04-25 – 2022-03-31
Keywords無声映画 / ブルーバード映画 / フランシス・フォード / ロイス・ウェバー / アイダ・メイ・パーク / エルシー・ジェーン・ウィルソン
Outline of Annual Research Achievements

平成31年度においては、主に3つの観点からブルーバード社の研究を行った。
まず、前期は全編が現存する貴重なブルーバード映画『切望』The Craving (1919)に関してのを口頭発表と論文執筆を行った。本作の監督フランシス・フォードは、無声映画時代ユニバーサル社において主にシリアルと呼ばれる連続映画の監督・脚本家・俳優として人気を博した。しかし彼の作品は現存数が非常に少なく、これまでその作家性は詳しく論じられてこなかった。そこで本研究においては、本作から見える1919年におけるブルーバード社の現状を考察すると共に、映画人としてのフランシス・フォードの再評価を目指した。
後期はブルーバード社の女性監督と俳優陣の関係に着目した論文を投稿した。ブルーバード社は同時代としては珍しく、複数の女性監督が活躍していたことで知られている。本研究では3人の女性監督(ロイス・ウェバー、アイダ・メイ・パーク、エルシー・ジェーン・ウィルソン)と彼らとタッグを組んだ俳優陣の作品を分析した。ブルーバード映画において彼らが演じた役柄や物語の共通性、変容を指摘した上で、女性監督たちがブルーバード社で果たした役割を明らかにした。
さらに、1月からは日本初の映画館パンフレット『第一新聞』の分析、日本におけるブルーバード映画の受容を研究している。同パンフレットに設けられていた一般観客の投書欄に注目し、そこから当時の日本におけるブルーバード映画受容の実態を明らかにすることを目指している。中間報告として4月に開催予定であった国際学会での発表が決定していたが、コロナウイルスの影響により中止となったため、発表予定であった原稿を基に内容を発展させた英語論文を執筆予定である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

これまでに、現存するブルーバード映画Jeanne Dore(1915)、『毒流』Shoes(1916)、『夢の女』The Dream The Lady(1918)、『都の恋』Broadway Love(1918)、『切望』The Craving(1919)といった作品を鑑賞し分析を行った。これらの作品からブルーバード社の特色や同社の監督の特徴を明らかにし、その研究成果を学会での口頭発表や論文の形で行っている。
また、フェミニズム的な観点から、ブルーバード社の女性観客を重視する姿勢を明らかにすると同時に、同社の女性監督(ロイス・ウェバー、アイダ・メイ・パーク、エルシー・ジェーン・ウィルソン)の活躍を分析して論じている。同社の女性監督を論じる中で、彼女たちの夫で同時にブルーバード社の監督でもあった、フィリップス・スモーレイ、ジョセフ・ド・グラス、ルパート・ジュリアンといった監督にも触れた。ブルーバード社の男性監督に関しては継続した調査を行う予定である。
加えて、ブルーバード映画の受容を比較映画史的に論じるための土台として、まず日本における同社の受容の調査に着手している。従来の研究者の論点をまとめると同時に、当時の映画雑誌や劇場のパンフレットを丹念に調査し、当時の観客が実際どのようにブルーバード映画を受容していたかを明らかにすることを目指している。
このように、フェミニズムと比較映画史という2つの観点からブルーバード社とその映画群の体系的な把握を目指し計画的に研究を進めている。尚、本研究はおおむね順調に進展しているが、コロナウイルスの影響により特に海外での調査に関しては多少の変更を強いられている。

Strategy for Future Research Activity

今後は各国のブルーバード映画受容の調査、現存するブルーバード映画の視聴(多くは欧州のアーカイブに保存されている)、ブルーバード社の男性監督の作品分析、ブルーバード映画の俳優分析を行う予定である。
令和2年度は春までに日本におけるブルーバード映画受容の実態を調査し、夏にはフランスにおいて同映画群の受容を調査、さらに同国のフィルム・アーカイブを訪れ現存するブルーバード映画の視聴を行う予定である。また、後期には3ヶ月間カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)に滞在し、本国アメリカにおけるブルーバード映画受容の実態を調査することを目指す。アメリカ映画史におけるブルーバード映画への言及は非常に少ないため、一次資料へアクセスする必要がある。そのため、まとまった期間を確保して調査にあたる。尚、この滞在調査は春に行う予定であったが、コロナウイルスの影響により受け入れ大学との協議の末延期となったものである。これらの調査を踏まえた成果を学会における口頭発表、論文執筆といった形で発信することを目指す。
令和3年度にはブルーバード映画の男性監督の影響力を調査し、同社の体系的な把握に努める。ブルーバード社は女性監督が活躍したことで知られているが、作品製作の主流を担っていたのはやはり男性監督たちであった。その中でも特に同社において作品が多い監督に関して調査し、女性監督の作品と比較することで、同社の監督の特色や重要性を明らかにすることを目指す。また、ブルーバード社独自の基準で選ばれた俳優陣に関しても調査し、彼らが同時代的にどのような役割を担っていたかを明らかにすることを目指す。

  • Research Products

    (4 results)

All 2020 2019

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Presentation (2 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Journal Article] 『切望』The Craving (1918) から考えるフランシス・フォードの1910年代2020

    • Author(s)
      入倉 友紀
    • Journal Title

      映画学

      Volume: 33号 Pages: 4~15

  • [Journal Article] ブルーバード社の挑戦:活動の変遷と3人の女性監督たち2020

    • Author(s)
      入倉 友紀
    • Journal Title

      映像学

      Volume: 103 Pages: 73~90

    • DOI

      https://doi.org/10.18917/eizogaku.103.0_73

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Presentation] The Audience Reception of Universal's Bluebird Photoplays in Japan2020

    • Author(s)
      Irikura Yuki
    • Organizer
      Society for Cinema and Media Studies (SCMS) 2020 Annual Conference
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] 『切望』The Craving (1918) から考えるフランシス・フォードの作家性の模索2019

    • Author(s)
      入倉 友紀
    • Organizer
      早稲田大学演劇映像学会第39回大会

URL: 

Published: 2021-01-27  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi