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2020 Fiscal Year Research-status Report

「国際音楽コンクールにおける地域振興の可能性 -国内外の比較研究-」

Research Project

Project/Area Number 19K00225
Research InstitutionShizuoka University of Art and Culture

Principal Investigator

松本 茂章  静岡文化芸術大学, 文化政策学部, 教授 (10433393)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 梅田 英春  静岡文化芸術大学, 文化政策学部, 教授 (40316203)
高島 知佐子  静岡文化芸術大学, 文化政策学部, 准教授 (70590404)
上山 典子  静岡文化芸術大学, 文化政策学部, 准教授 (90318577)
Project Period (FY) 2019-04-01 – 2022-03-31
Keywords国際音楽コンクール / 自治体文化政策 / 映画祭 / 文化芸術の産業化
Outline of Annual Research Achievements

研究代表者の松本は2020年12月、日本アートマネジメント学会第22回全国大会で「なら国際映画祭の10年 -資金・人材・場からの分析-」と題した発表を行った。主催するNPO法人なら国際映画祭の関係者や行政幹部に聞き取り調査を重ねた成果である。
映画祭の財務のうち、総収入に占める行政資金の平均は37.5%で、仙台国際音楽コンクールの行政資金割合73.6%より随分と低いことを突き止めた。加えて映画祭の一環である若手支援プロジェクト「ナラティブ」(入賞した若手映画監督に奈良県内で映画作品を制作する機会を提供)では、第1回の財務をみると行政資金が100%を占めていたが、外国からの出資金を得て、第6回の行政資金割合は16.7%に低下していた。同時に古都の風景が海外に伝えられ、外国人観光客が訪れるようになった。同調査結果は実に興味深く、国際音楽コンクールの特色を浮き彫りにするためには他の芸術分野の調査も不可欠であると分かった。
松本は研究成果をまとめ、月刊研究誌『公明』2020年7月号に報告。時事通信社の行政雑誌『地方行政』2020年9月12日号には「10周年を迎えた『なら国際映画祭』」と題して掲載した。
欧米担当の高島、上山はスコットランド国際ピアノコンクール(英国)と「ハノーファー国際音楽コンクール」(独国)の2018年度事前調査を共著の形で静岡文化芸術大学『研究紀要』第21巻(2021年3月発行)に掲載。「ユネスコ創造都市における国際音楽コンクール -ハノーファー、グラスゴー、浜松の事例-」と題した。前者の入賞者は国外のレコードレーベルからCDを発売してもらえる恩恵があることを突き止めた。さらに2人は2021年度後半に海外調査に出向く準備を重ねた。
アジア担当の梅田英春は「イサンユン国際音楽コンクール」(韓国・統営市)が感染拡大のために延期されたので次の実地調査に備えた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

2020年の新型コロナウイルス感染拡大によって海外調査を実現できなかった。「国内外の比較研究」という副題から分かるように、本研究は海外の実例を丁寧に調査することで、日本の音楽コンクールのありよう、将来像を浮き彫りにすることを狙いとしている。海外事例があってこそ国内事例の研究なので、残念だった。このため、研究の1年間延長を強く希望する。
感染拡大に伴い、国内での調査も満足に行えなかった。非常事態宣言等が発令され、県境を越えた国内調査が難しくなったためである。
しかし後述するように、上記はハンディではない。2020年度に他分野の芸術コンクールと比較できたことで、研究の方向性が見えてきた。

Strategy for Future Research Activity

上記で述べたように、感染拡大に伴い、2020年度の研究は大きく進まなかったものの、足踏みとはとらえていない。足元をじっくりと見つめ、研究の方向性を再考する時間ができたことは実に貴重だった。
1つには、2020年度の映画祭と音楽コンクールの比較調査に伴い、次の研究ステージが見えてきた。同じ「芸術の競い合い」であるのに、映画は産業と密接な関係を有している一方で、日本の西洋古典音楽コンクールは産業と遠いところにあると思われがちだったが、果たしてそうなのか。ハノーファーの音楽コンクール入賞者が遠く離れたところのレコードレーベルからCDをリリースしてきたことが分かり、コンクールの効用は地球規模で広がっているようである。当初に考えていた「地域振興」や「地域貢献」は、小さくとらえ過ぎだったのではないか、と反省するに至った。
たとえばコンクール出場者による学校訪問による国際交流、コンクールを鑑賞に訪れる観光客の増加、などがコンクール開催都市のなかで展開しているのではないかと単純に見立てたのだが、国際的な芸術コンクールの効用は1つの都市内で完結する訳ではなさそうで、もっと広く、地球規模や大陸規模で文化産業とつながっているのではないか、と感じ始めた。こうした仮説をもとに、2021年度の研究に臨みたいと決意している。
西洋古典音楽コンクールに限らず、アジア民族音楽も調査する必要があると思われる。加えて映画、演劇、美術の他分野にも視野を広げ、芸術の「競い合い」と産業の間の関係性を追求してみたい。
このために複数の研究協力者を起用することを考えている。

Causes of Carryover

感染拡大に伴い、海外渡航調査を実現することができず、旅費を使い切れなかったためである。

  • Research Products

    (4 results)

All 2021 2020

All Journal Article (3 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] 「奈良市・なら国際映画祭」2020

    • Author(s)
      松本茂章
    • Journal Title

      月刊『公明』

      Volume: 2020年7月号 Pages: 72-74

  • [Journal Article] 「10年を迎えた『なら国際映画祭』」2020

    • Author(s)
      松本茂章
    • Journal Title

      時事通信社『地方行政』

      Volume: 2020年9月12日 Pages: 2-6

  • [Journal Article] 「ユネスコ創造都市における国際音楽コンクール -ハノーファー、グラスゴー、浜松-」2020

    • Author(s)
      上山典子・高島知佐子
    • Journal Title

      静岡文化芸術大学『研究紀要』第21巻

      Volume: 21 Pages: 159-172

  • [Presentation] 「なら国際映画祭の10年 -資金・人材・場からの分析-」2021

    • Author(s)
      松本茂章
    • Organizer
      日本アートマネジメント学会第22回全国大会

URL: 

Published: 2021-12-27  

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