2023 Fiscal Year Annual Research Report
戦時期・占領期日本における医学系専門職養成制度改革に関する実証的研究
Project/Area Number |
19K02395
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
吉川 卓治 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 教授 (50230694)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 医薬制度調査会 / 教育審議会 / 公衆衛生福祉局 / サムス / 佐多愛彦 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、戦時期から敗戦をはさむ占領期までの時期(1930年代半ばから1950年代初めまで)において、医師、歯科医師、薬剤師という医学系専門職の養成制度について、いかなる改革構想が提出・検討され、どのようにして大学での養成と国家試験による資格付与というかたちに収斂することになったのか、ということを二つの分断――各専門職間の分断および戦時改革と戦後改革との分断――という研究状況の克服を目指して、大学史・高等教育史の視座から実証的に解明しようとするものであった。具体的には、 (1)戦時期から占領期にかけての時期における各種医学系専門職の養成制度の改革について審議・提案した各種審議会の位置づけとそこで出された構想と議論の内容、 (2)行政諸機関における制度設計と実際の改革過程、 (3)改革にリーダーシップを発揮した人物の考えと行動の三つの局面から検討した。 そのために、本研究では政策側の資料として、国立公文書館や各種図書館、自治体、大学に保存されている一次資料、たとえば「医薬制度調査会関係資料」「戦後教育資料」や「教育刷新委員会会議録」、国立国会図書館憲政資料室所蔵のGHQ文書、さらに米国のスタンフォード大学フーバー研究所に所蔵されているGHQ/SCAP 公衆衛生福祉局の局長 Crawford F. Sams の文書を、 政策側資料の補完と関係者の考えと動きを明らかにするために、医学・歯科医学・薬学系の雑誌に掲載された記事を調査収集してきた。最終年度においては、このうち、コロナ禍のために遅れていた在米資料の調査収集を集中的に行ない、また個別大学における改革動向を検討し、これまでの調査結果をまとめる作業に取り組んだ。
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