2020 Fiscal Year Research-status Report
児童生徒がICT機器を快適に利用するための教室環境の改善と指導方法の提案
Project/Area Number |
19K02980
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Research Institution | Tokyo University of Social Welfare |
Principal Investigator |
柴田 隆史 東京福祉大学, 教育学部, 教授 (90367136)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 和紀 信州大学, 学術研究院教育学系, 助教 (30802988)
堀田 龍也 東北大学, 情報科学研究科, 教授 (50247508)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ICT / タブレット端末 / 学校 / 教育 / 学習環境 / 健康 / 視覚疲労 / 近視 |
Outline of Annual Research Achievements |
学校のICT環境の整備が急速に進み、デジタル活用への期待が高まる一方で、児童生徒の健康面への影響が懸念され、その対策が求められている。本研究の目的は、児童生徒の健康面やICT機器の使いやすさの観点から、ICT機器を快適に使える学習環境を提案することである。2年目(令和2年度)は、学校でのICT機器利用時の視距離に関する調査と、学校での利用を想定したチェックリストの検討、及び研究成果に関わる情報発信を実施した。 ICT機器利用時の視距離については、中学生を対象として、紙の教科書と2種類の大きさのタブレット端末を用いて、教科書の音読時における視距離を比較した。その結果、紙の教科書とほぼ同じ大きさの、大きいタブレット端末の平均視距離が38.0cmであり、他の2条件よりも長かった。また、紙の教科書と小さいタブレット端末に差はみられなかった。十分な視距離の確保は、視覚疲労の軽減や近視予防の点で重要となる。ICT機器の特性や使い方を含めて、児童生徒の健康面を考えていく必要性が考察された。 チェックリストの検討に関しては、これまでの検討内容や文献調査、さらには近年における近視予防対策などの動向を踏まえながら、必要となる項目の抽出や議論を進めた。 研究成果に関わる情報発信としては、2021年3月に文部科学省から出された「学習者用デジタル教科書実践事例集(追補版)」でのコラムにおいて(pp.32-33)、児童生徒の健康面に配慮する実用的な対策として、「30分までは継続してもよいという考え方ではなく、学習者用コンピュータを見続ける一度の学習活動が長くならないようにするなど、健康面にも配慮した授業展開とすることが重要である。」と記載した。また、学校でできる工夫として、「例えば、教室前方にある黒板や大型提示装置あるいは教師の方へ視線を向けさせる機会を作るとよい。」と示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では児童生徒のICT機器利用について検討するため、研究を遂行するためには学校や教員などの協力を必要とする。当初の研究計画通り、その協力を得ることができ、調査や意見交換などを実施している。また、本研究の成果発表(学会発表など)を行っていることなどに加え、研究の全体計画から考えて、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、児童生徒の健康面として特に視覚疲労や近視に着目し、対応策を見出すために現状の把握と検討を行う。また、教員が人間工学的視点を理解し、日常の授業の中で児童生徒に適切なICT機器利用の指導ができるようにするために、教員に対する指導方法を検討する。そのために、前年度の検討を展開させ、チェックリストの表現方法や学校での効果的な運用方法を検討する。 文部科学省によるGIGAスクール構想や、児童生徒の自宅でのオンライン学習の機会増加に伴い、画面を見る時間が長くなっている。そうした状況も鑑み、学校教育の情報化を支援することを目指し、児童生徒の負担や使いづらさを軽減した快適な学習環境を整えるための方法を検討していく。また、児童生徒自らが健康面に配慮してICTを活用できるリテラシーを身に付ける方法を検討する。それにより、研究成果が効果的かつ早期に教育の現場や社会に活用されるよう研究を推進する。
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Causes of Carryover |
(理由)基本的に計画通りに研究を推進し、研究成果を海外で開催される国際学会で発表する予定であったが、コロナ禍によりその学会が延期となり、海外出張が取りやめとなったためである。加えて、オンラインの活用により国内旅費の支出が減ったためである。 (使用計画)繰り越し分と翌年度分の助成金を合わせ、当初の研究計画に沿って研究を遂行する。
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Research Products
(13 results)