2023 Fiscal Year Research-status Report
Relationship between periodontal pathogen and estimated glomerular filtration rate (eGFR) in patients with chronic kidney disease
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19K10111
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
二宮 雅美 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 助教 (10291494)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
湯本 浩通 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 教授 (60284303)
生田 貴久 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 助教 (00746563)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 歯周病 / 慢性腎臓病 / ペリオドンタルメディシン |
Outline of Annual Research Achievements |
歯周病は細菌性プラークに起因した歯周組織の慢性炎症であり、口腔内局所だけでなく、種々の全身疾患の増悪因子となり健康を脅かす可能性が示唆されている。歯周病と全身との相互関係を解明する分野は歯周医学と呼ばれ、さらなるエビデンスの集積が求められている。このうち、慢性腎臓病(Chronic Kidney Diseases:CKD)患者は全国で1330万人以上いるといわれ、これは成人の8人に1人に相当するもので、80歳以上の高齢者では2人に1人が罹患しており新たな国民病といわれている。糖尿病や高血圧、メタボリックシンドロームとの関連も深く、CKDによって腎機能が低下すると脳梗塞や心筋梗塞の発症リスクも高くなる。一方、CKDと歯周病との関係は、糖尿病と歯周病との関係を調べた研究と比較して非常に少ない。本研究では、CKD患者の歯周病原細菌感染度が腎機能を示す推算糸球体濾過量(eGFR)に及ぼす影響を疫学的に検索し、さらに歯周治療による歯周病原細菌のコントロールがeGFRの改善に与える影響について検討することを目的としている。被験者を集積するにあたり、本院腎臓内科に通院している慢性腎臓病患者のうち、本研究に同意が得られた患者を対象被験者とした。初診時の歯周組織検査(歯周ポケット、歯肉出血指数、動揺度、プラーク指数、X線写真検査)を行い、X線写真から歯槽骨吸収率を計測した。また、唾液中の歯周病原細菌(BML外注検査)を行った。さらに、歯周基本治療後の歯周組織検査の再評価を行い、歯周治療前後での推算糸球体濾過量(eGFR)の推移を評価した。現時点では、合計62名のCKD被験者の資料を集積している。現在までの集積結果では、歯周基本治療前後におけるCKD患者のeGFR値に有意差は認められなかったが、CKDの重症度が高い(Stage3以上)被験者ほど骨吸収率が24%以上進行し、Stage3以上の被験者においてはP.gingivalisが有意に基準値以上であるとの結果を得ている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、患者の検診が思うようにできず、被験者の資料収集が不十分な状況である。また、研究代表者の闘病や家族の介護により研究が思うように遂行できなかった。そのため、被験者資料の収集に加えて、X線写真による歯槽骨吸収率の解析が遅れており、歯周病の進行状態による被験者のデータ分析が十分に進んでいない。以上より遅れていると評価した。そのような状況ではあるが、これまでのデータに関して次年度の学会で発表予定としている。
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Strategy for Future Research Activity |
ひきつづき、CKD患者の歯周組織検査(歯周ポケット、歯肉出血指数、動揺度、プラーク指数、X線写真による歯槽骨吸収率の診査)を行う。さらに、歯周ポケットの深さと歯肉出血指数から歯周ポケット炎症面積(PISA)を算出し、X線写真による歯槽骨吸収率と併せてCKDの重症度との相互関係を統計学的に検索する。また、集積できた資料の中で歯周治療前後の推算糸球体濾過量(eGFR)の推移も統計学的に検索し、論文作成を行う予定である。
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Causes of Carryover |
(理由)新型コロナウイルス感染による行動制限の影響や研究代表者の闘病により、被験者の検診やデータ収集が遂行できなかった。そのため、資料収集やデータ解析が十分に進まず、次年度使用額が生じた。 (使用計画)次年度は、これまでのデータ集計および統計解析を進め、得られたデータの学会発表や論文作成を予定している。校正料や投稿料に使用予定である。
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Research Products
(13 results)