2021 Fiscal Year Research-status Report
地域包括ケアシステムを担う看護職員の雇用実態と政策課題
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19K10769
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
角田 由佳 山口大学, 経済学部, 教授 (10566855)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 介護保険関連施設 / 訪問看護ステーション / 看護職員 / 経験年数 / 給与 / 超過勤務時間 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、地域包括ケアシステムの構築にあたり重要な役割を担う看護師について、労働力不足が懸念されている訪問看護ステーション等、介護保険関連施設での雇用実態を把握し、労働供給行動を検証した上で労働力確保のための有効策を提示することを目的とする。 就業者本人による届出調査ではあるが、厚生労働省「衛生行政報告例」(隔年調査)では、勤務先ごとの看護職員の年齢構成を観察できる。この調査データを分析すると、介護老人保健施設、介護老人福祉施設、訪問看護ステーションで就業する看護職員について、介護保険制度が施行された2000年当初は比較的若い看護職員も働いていたが年々、職員数が増えると同時に年齢階層も上昇していることが分かる。具体的には2020年時点において、介護老人保健施設や介護老人福祉施設では50代半ばから60歳、訪問看護ステーションは40代半ばから50歳の職員が最も多い年齢層となっている。同調査において、病院で最も多く働く看護職員の年齢層が2000年以降概ね20代半ばから30歳であることと大きく異なっている。 上記の年齢構成から、介護保険関連施設で就業する看護職員は経験年数が長くなっているが、若い年齢層の看護職員が勤務する病院と比べて低い給与実態にある。賃金はじめ各種労働条件について、各医療施設・介護保険関連施設ごとに調査している日本看護協会「看護職員実態調査」(四年毎に調査)によれば、サンプル数に制約があるものの、介護保険関連施設等の中では給与の高い訪問看護ステーションに比べ病院の看護職員は、1か月当たり基本給7,885円、税込給与総額では18,271円高くなっている。その分、他の労働条件に良い傾向があるとも言えず、特に実際の超過勤務時間について、病院、訪問看護ステーションの看護職員いずれも17時間近くとなっており、ワーク・ライフ・バランス対策に改善が必要な状況にあると捉えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の流行について、変異型を含めて状況が落ち着いておらず、訪問看護ステーションをはじめ各種介護保険関連施設に対して、研究を目的とした調査依頼、ひいては独自調査が極めて難しくなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
依然として新型コロナウイルス感染症の流行、介護関連施設等でのクラスターも発生している状況のため、調査方法の変更を検討している。 具体的にはWeb調査の実施、そして、より実効性のある調査にするためにも、調査対象を、医療施設に就業中の看護職員も含め、どのような要因によって、訪問看護ステーション等介護関連施設への就業(転職)を考えるか、調査・分析することを検討している。
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Causes of Carryover |
前年度まで、新型コロナウイルス感染症の流行拡大により、訪問看護ステーション等介護保険関連施設への調査が困難であったが、その状況は今年度も続くと予想される。 そのため、調査方法をWeb調査に変更することを検討しており、その調査実施のために、主な費用支出を計画している。
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Research Products
(1 results)