2023 Fiscal Year Annual Research Report
地域包括ケアシステムを担う看護職員の雇用実態と政策課題
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19K10769
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
角田 由佳 山口大学, 経済学部, 教授 (10566855)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 看護職 / 介護保険サービス / 訪問看護ステーション / 就労意向 / 正規雇用 / 休日・休暇 / 基本給 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、地域包括ケアシステムの構築にあたり重要な役割を担う看護師について、介護保険サービス領域での雇用実態等の分析を通じて労働力確保の有効策を提示することを目的としている。当該領域で政府の推計以上に労働力を供給する看護職がいることは明らかとなったが、需要推計に比べて不足する状況に変わりはない。Covid-19の再々の流行拡大により方法を変更し、2022年に実施したWeb調査では休・離職中の看護職も対象に含め、当該領域での就労意向や必要な労働条件等を明らかにすることを目的とし、分析につなげた(代表者所属機関の研究審査委員会の承認を得て調査実施)。 回答者1,000人の基本属性は平均年齢41.2歳、平均経験年数は16.5年であり、正規雇用者が85.0%を占める。他の職場で働いてみたい者が全体の56.3%を占め、年齢や経験年数が低いほど転職意向が認められた。超過勤務時間数の長さや有休取得率の低さと転職意向との関連性、そして中でも20代および40代前半の者に基本給の低さとの関連性が認められた。 転職意向について「どちらともいえない」者も加えた計798人に対し、介護保険サービス領域での就労意向を調査した結果、最も多い訪問看護ステーションでも意向を持つ者は28.8%であった。訪問看護以外の在宅領域26.0%、介護保険施設では24.3%であり、いずれにおいても年齢が低いほど就労意向を持つ者が増える傾向にあった。必要な労働条件として最も選ばれたのは、どの職場についても「正規雇用(フルタイム)」であり、「休日・休暇」日数や取り易さ、「基本給(現在より高い)」と続いた。必要な就職支援策として、これら労働条件や仕事内容に関する転職先とのマッチングが最も挙がっており、当該領域における看護職の労働供給を増やすには、希望する労働条件を整備し支援策を実施しながら転職を促す必要性が明らかとなった。
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Research Products
(2 results)