2020 Fiscal Year Research-status Report
脱冷戦期日韓・日朝関係における歴史和解プロセスの国際政治学的分析
Project/Area Number |
19K13630
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Research Institution | Fukuyama City University |
Principal Investigator |
松浦 正伸 福山市立大学, 都市経営学部, 講師 (90736042)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 和解 / 歴史認識問題 / 権力政治 / 韓国 / 北朝鮮 / 国際政治 / 日韓関係 / 日朝関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究のテーマは、「脱冷戦期日韓・日朝関係における歴史和解プロセスの国際政治学的分析」である。日本の植民地清算に関する歴史認識問題を国際政治学の視点から分析し、異なる歴史認識を有する国家間関係において、いかにして「和解」が導かれるのかを解明することが研究の主たる目的である。戦後日本外交は、連合国との間で調印した「サンフランシスコ講和条約」体制により、主に交戦国との間で、過去を清算する方針を採ってきた。しかし1990年代以降、東アジアを中心に慰安婦・靖国神社参拝・ベトナム戦争等の過去史の清算をめぐり国家間の和解をめぐる問題が重要争点となっている。興味深いことに、1990年代後半から2000年代初頭にかけて、日本と朝鮮半島の間では、歴史和解に向けた一定の進捗も見られた。他方で、歴史認識は唯一無二とするナイーブな歴史観がこの問題解決に向けた前提となってきた。実際、東アジアの歴史和解をめぐる研究は、これまで実証主義的歴史学、社会学に分析レベルが集中し、その重要性にもかかわらず、権力政治を軸とする国際政治学的なアプローチによる分析が等閑視されてきた。以上のような問題意識を受けて、本研究では本年度に、研究成果の一部を、韓国で学術書として出版した(東北アジア歴史財団学術叢書110『韓日関係の軌跡と歴史認識』) 。また、今年は、韓国で行われる国際学会での発表準備に向けた事例研究、一次二次文献を中心とする資料収集、共同研究者との打ち合わせ等を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルスのパンデミックにより、当初予定していた韓国における現地調査をすべて取りやめた。このため、資料収集が進まず、想定よりも進捗が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
国際社会における歴史和解の事例を検証し、国際政治学の分析枠組みから、歴史認識問題の和解導出に向けた動きを研究していく。また、研究成果の一部を、国際学会で発表する予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由:新型コロナウィルス感染症のパンデミックを受けて、当初想定していた韓国における現地調査を取りやめた。このため、旅費その他の支出が当初想定案よりも低額になった。 使用計画:当初想定した現地調査が可能になり次第、該当予算分を旅費にあてる予定である。
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