2021 Fiscal Year Research-status Report
日本の伝統食おにぎりの食中毒予防:調理施設及び家庭における食の安全性とリスク管理
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19K14007
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
筒浦 さとみ 新潟大学, 研究推進機構, 助教 (20708622)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 食品衛生 / 微生物 / 黄色ブドウ球菌 / 毒素 / にぎり飯 / 高静水圧処理(高圧処理) |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、調理施設及び家庭における食中毒のリスクを減らすことを目的とし、にぎり飯作製時の衛生管理及びにぎり飯保存時の黄色ブドウ球菌の毒素産生に対する様々な要因の影響を調べ、汚染が起こりやすい工程や食中毒菌付着の原因となる調理従事者の行動を特定する。2019年度の結果から、本研究で使用するにぎり飯調製法ではスケールによる差はほとんどないこと、昨年度の結果から、市販調味料及び具材の添加により、黄色ブドウ球菌の増殖及び毒素産生が効果的に抑制されることが明らかになったことから、本年度は、食品加工法の一つである高静水圧処理(高圧処理)との組み合わせが可能であるかを検討した。米飯で行う前に、いくつかの液体培地及び食品を用いて、高圧処理の圧力、処理温度、処理時間、培地・バッファーや食品の種類の違い、pHの影響等について詳細に調べ、高圧処理条件の検討を行った。これらの検討により400 MPaの圧力で10分間の処理条件に決定し、市販調味料及び食塩を加えた米飯に黄色ブドウ球菌を植菌した後、先の条件を用いて高圧処理を施し、37℃で48時間保存した。高圧処理と食塩・市販調味料の添加を組み合わせると高圧処理直後の菌数が大きく減少し、菌の殺菌増強効果が認められた。また、その後の保存においても菌数が効果的に抑えられ、保存中の菌の増殖抑制にも効果があることが明らかとなった。さらに、調理を想定し、人の手及びビニール手袋着用時の菌数についてグローブジュース法等を用いて調べ、調理器具の汚染についても確認し、これらの予備検討を終えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度は昨年度の研究を発展させ、新たな食品加工法との組み合わせについても条件を詳細に検討しながら調べることで、基礎的なデータを十分に得られただけでなく、長期的な保存効果が期待できる微生物抑制の組み合わせについても見出すことができた。また、人の手の汚染度についても調べるなど予備検討をほとんど終えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度まで計画通りに本研究が滞りなく進められていることから、2022年度も黄色ブドウ球菌の毒素産生に対するその他の要因の影響について継続的に調べ続けるとともに、にぎり飯の作製を意識した環境においての手や調理器具の様々な汚染状況を調べる。また、汚染が起こりやすい工程や食中毒菌付着の原因となる調理従事者の行動と結び付けていく。今年度は研究の最終年度であることから、本研究の内容をまとめあげることも視野に入れ、成果発表等にも力を入れる。
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Causes of Carryover |
2020年度に引き続き、昨年度も新型コロナウイルスの影響で海外出張の許可が下りなかっため、旅費を繰り越すこととなり、次年度使用額が生じた。今年度可能であれば国際学会に参加して研究成果発表を行い、当初の予定通り旅費として使用することを検討している。
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