2019 Fiscal Year Research-status Report
カリキュラム・マップを基盤とした学習成果の可視化方法の提案とその検討
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19K14275
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
斎藤 有吾 新潟大学, 経営戦略本部, 准教授 (50781423)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 学習成果の可視化 / カリキュラム・マップ / パフォーマンス評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、推し進められている高等教育改革において、「学習成果の可視化」は重要なキーワードである。ここでいう学習成果とは、大学での学習の結果、得た知識、技術、態度などの成果を指す。そしてその可視化が多くの高等教育機関において精力的に取り組まれている。しかし、多くの大学で実施されている方法は、ディプロマ・ポリシーに対応するような評価であるとは言い難い。そこで、本研究ではある医療系単科大学を主たるフィールドとして、上記の問題を乗り越えるための学習成果の測定手段を提案し、その信頼性・妥当性・実行可能性を検討し、さらに他分野への適用可能性を検討することを目的としている。 2019年度は、フィールドとする大学において、学習成果の可視化の議論に関わりながら、本研究で目的とするカリキュラム・マップを基盤とした手法による信頼性・妥当性の議論のため、特にディプロマ・ポリシーとの整合性を意識しながら、複数の評価手法によって学習成果の指標を集め、その関連性を検討した。そのような指標として、重要科目におけるパフォーマンス評価や、基礎的な学習スキルを測定するために開発したテスト、外部テストが挙げられる。それらの関連を検討した結果、外部テストによる学習成果の可視化には妥当性の観点から大きな疑義があり、やはり科目の評価を中心にして、あるいは当該大学の文脈に合わせて標準テストを開発し、学習成果の可視化を行っていく必要性をエビデンスをもって示した。 これらの実績は、大学教育学会誌に採択されたほか(印刷中)、大学教育学会第41回大会、第26回大学教育研究フォーラム、大学教育学会第42回大会にて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は、フィールドとする大学において、学習成果の可視化の議論に関わり、重要科目におけるパフォーマンス評価や、基礎的な学習スキルを測定するために開発したテスト、外部テストの関連を検討し、特に信頼性・妥当性に関わる議論を進めた。それに際して、ディプロマ・ポリシーの基盤となると考えられる学習スキルを測定するためのテストを開発した。加えて、ディプロマ・ポリシーの達成度に関する自己認識を問うための学生調査用アンケート項目も開発した。 これらの指標の関連性を検討することにより、各指標の妥当性や、ディプロマ・ポリシーとの整合性を実証的に示すことが可能となった。その結果、教育関連企業が開発している外部テストによる学習成果の可視化には妥当性の観点から限界があり、やはり科目を中心にして、あるいは当該大学の文脈に合わせて標準テストを開発し、学習成果の可視化を行っていく必要性をエビデンスをもって示した。これらは、当該大学において、現在進めている学習成果の可視化の方針の正当性を補強するものである。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究において、フィールドとする大学において、学習成果の可視化をどのように進めていくのかに関する素地と材料は整ったといえる。重要科目におけるパフォーマンス評価は、フィールドとする大学の多くの学生が就職するであろう医療臨床現場におけるふるまいも一定程度予測することが実習中の評価との関連から示された。また、教育関連企業が開発した外部テストはそのようなふるまいを全く予測しなかった。これらから、学習成果の可視化を重要科目のパフォーマンス評価を主軸として行っていく正当性を示すことができた。 ただし、評価者・被評価者ともに負担の大きいパフォーマンス評価を、あらゆる科目で広く取り入れることは現実的に困難である。今後は、カリキュラム・マップを基盤にした学習成果の評価指標と、重要科目におけるパフォーマンス評価、開発したテスト、学生調査など複数の学習成果の指標との関連性を検討し、重要科目におけるパフォーマンスを主軸としつつも、それを下支えしていく方法論を検討していく。 しかしながら、コロナ禍の影響により、当該大学では全学的にオンライン授業を導入した背景もあり、学習成果の可視化はその制約の中で実行可能な方向性を探る必要性に迫られている。当該大学の状況と文脈を考慮しながら、慎重に進めていく。
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Research Products
(4 results)